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自動車ホンダが燃料電池車を発売、約750キロ走行で年内に欧米でも展開
「究極のエコカー」をトヨタに続いて販売、今後、同じ車台でEVやPHVを展開
3月10日、ホンダは、水素で走る5人乗り燃料電池車(FCV)「クラリティ・フューエル・セル」を発売した。当面はリースでの販売で、まずは自治体や企業向け、早ければ1年後にも一般向けに売り出す予定。初年度の国内販売目標は200台。年内中に欧米でも販売する。水素満タン時の走行距離は約750キロを達成した。写真は都内で1月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
ホンダ<7267.T>は10日、水素で走る5人乗り燃料電池車(FCV)「クラリティ・フューエル・セル」を発売した。当面はリースでの販売で、まずは自治体や企業向け、早ければ1年後にも一般向けに売り出す予定。初年度の国内販売目標は200台。年内中に欧米でも販売する。水素満タン時の走行距離は約750キロを達成した。
八郷隆弘社長は同日の発表会で、FCVは「ガソリン車に置き換わるモビリティーとして有望。気候変動に関わる課題にも応えることができる」と述べた。また、まだ決まっていないが、FCVの「いろいろな車種への展開を考えていきたい」とも語った。
クラリティのプラットフォーム(車台)は今後、展開する電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)などの環境対応車でも活用できる。18年までに北米へ投入するPHVも同じ車台を採用する予定。
FCVの本格的な市販については、トヨタ自動車<7203.T>が先行しており、14年12月に4人乗りの「MIRAI(ミライ)」を723万6000円で発売。クラリティの参考価格は766万円で、約40万円高い。1回の水素充填での走行距離は、ミライが約650キロなのに対し、クラリティは約100キロ伸ばした。
まだ生産コストの高いFCVだが、ホンダは20年ごろの実用化に向けて米ゼネラル・モーターズと次世代燃料電池システムを共同開発中で、八郷社長は量産や部品調達をどう図るかなど「次のステップに入っている」と話した。
また、ホンダはFCV関連の特許を4000件ほど持つといい、清水潔・開発責任者は特許の無償供与について「個別で協議しながら検討する。まったく拒むつもりはない」と述べた。トヨタはFCV関連特許を無償開放している。
FCVは走行時に二酸化炭素(CO2)を出さないことから「究極のエコカー」とも呼ばれる。ただ、水素製造時にはCO2が出るとの指摘もあるほか、約4―5億円と高額な費用がかかる水素ステーションの設置がまだ十分に進んでいないなど普及に向けた課題がある。
(白木真紀)