長期金利が再びマイナス、運用難で投資家の「金利狩り」加速
40年もの社債が登場するなど、少しでも高い金利を求める機運が高まる
2月19日、投資家がより高い金利を求める動き、いわゆるイールド・ハンティングを強めている。2011年8月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)
投資家がより高い金利を求める動き、いわゆるイールド・ハンティングを強めている。日銀のマイナス金利政策が浸透するなかで、10年長期金利が再びマイナスに低下。社債の発行年限も長期化してきた。
資金を長期間固定してしまうリスクはあるものの、運用難が極まる中で、金利収入を求める機関投資家の「少しでも高く」という需要が、債券市場全体に広がっている。
社債は40年ものが登場
JR西日本<9021.T>は19日、40年債の発行を決定した。金利は年1.575%で発行額は100億円。政府保証債や財投機関債では40年ゾーンの発行実績があるが、40年債は民間企業による公募の普通社債としては最長年限となる。
味の素<2802.T>も25日に20年債の起債を準備している。20年の公募社債の発行は、電力やガス、鉄道といった投資から回収までの年限が長いインフラ系企業では珍しくないが、製造業としては異例の長さだ。
こうした長い期間の社債が発行できるのは、投資家サイドにより高い金利を求めるニーズがあるからだ。長期的に安定的な金利収入が入るということはメリットでもあるが、将来的に金利が上昇した場合、評価損が出るほか、高い金利を受け取ることができる機会を失うデメリット(デュレーションリスク)もある。
それでも運用難が極まる中で「少しでも高い金利が付いた債券を求める投資家が多くなっている」(りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏)という。ある超長期バイヤーは、超長期の社債について「金利は低いが、ほかの年限に比べると、相対的にクーポンが高いため買わざるを得ない」と話す。
19日の円債市場で、10年長期金利は一時マイナス0.010%を付け、10日以来のマイナス圏に突入。国内生保などがメーンの運用商品としている20年債は一時0.700%と過去最低水準を更新した。日銀が16日からマイナス金利の適用を開始。金利低下の圧力が徐々に広がっている。
コスト増加の外債投資
海外に投資機会を求めるのも1つの選択肢だが、低金利環境は日本だけでなく先進国共通の現象だ。