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中国経済1月末の中国外貨準備は3.23兆ドル、12年5月以来の低水準
国内企業の外貨建て債務の返済急増や、元売り/ドル買いの拡大で資金流出に拍車
2月7日、中国人民銀行が発表した1月末時点の外貨準備高は3兆2300億ドルと、前月から995億ドル減少し、2012年5月以来の低水準となった。写真はドルと人民元の紙幣。ワルシャワで2011年1月撮影(2016年 ロイター/Kacper Pempel)
中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した1月末時点の外貨準備高は3兆2300億ドルと、前月から995億ドル減少し、2012年5月以来の低水準となった。減少幅は、過去最大だった昨年12月の1079億ドルに次ぐ規模。
前月比でマイナスとなったのは3カ月連続で、人民元の下落と資金流出を食い止めるために中銀がドル売りを出していたとみられる。ただ外貨準備高は、ロイターのまとめた市場予想の3兆2000億ドルは上回った。
外準は最近の6カ月で4200億ドル程度減少したが、依然として世界最大規模にある。昨年1年間では5130億ドル減少し、年間の減少幅としては過去最大となった。外為当局は4日、昨年の準備高減少のうち貿易や投資による分は3423億ドル、為替や資産価値の変化に伴う分は1703億ドルに上ったとしていた。
政府高官によると、国内企業による外貨建て債務の返済が急増したことや、元安に伴う国内での元売り/ドル買いが拡大したことも拍車をかけたという。
中国からの資金流出は、昨年8月の人民元切り下げ以来増加。同国経済の鈍化懸念や米利上げ観測が背景にある。
独コメルツ銀行(シンガポール)の新興国市場シニアエコノミストは、今回の統計についてリポートで「中国の経済成長は鈍化しており、金融緩和の必要性は非常に高い。だが資金流出は必然的に金融引き締め状態となる」と指摘。「その一方、元の急落を防ぐために人民銀は外貨準備の売却を迫られるとみられ、流動性のタイト化につながるだろう」と述べた。
金準備は635億7000万ドルとなり、昨年末時点の601億9000万ドルから増加した。
国際通貨基金(IMF)リサーブポジションは37億6000万ドルで、昨年末の45億5000万ドルから減少した。
IMF特別引き出し権(SDR)は102億7000万ドル。昨年末は102億8000万ドルだった。