最新記事

中国

習主席、アフリカをつかむ――ジブチの軍事拠点は一帯一路の一環

2015年12月7日(月)17時08分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

海の道 習近平のアフリカ訪問は「中華民族の偉大なる復興」のためのものだった dem10-iStock.

 習主席は12月1日のジンバブエ訪問を皮切りに、南アフリカのヨハネスブルグで開催された「中国アフリカ協力フォーラム」サミットに参加し巨額の投資を約束。同時にジブチに中国海軍初の軍事拠点を建設すると公表した。

ジンバブエ公式訪問

 習近平国家主席(以下、習主席と省略)は12月1日、ジンバブエの首都ハラレに特別機で到着し、同国の公式訪問を開始した。ジンバブエのムガベ大統領はアフリカ連合議長を務めており、アフリカを押さえるために重要な拠点の一つだ。

 空港に着いた習主席は、赤絨毯を踏みながら、現地人の伝統的な踊りの歓迎を受けたが、一瞬、不快というか、警戒の表情を見せた。動画ではその心理を見逃さずに考察することができたが、静止画となると、習主席が何とか笑顔に戻った瞬間を捕えているので、警戒の痕跡しか見えないだろう。しかしそれでもそれを読み取ることに興味のある方は、この写真をクリックして頂きたい。

 筆者は2014年11月25日付けの本コラム「第二列島線を狙ったのか、習近平――オセアニア諸国歴訪」でも、「現地先住民マオリ族の歯をむき出したり舌を出したりする勇猛な戦闘の踊りの際、矢(槍)先が習近平に向けられた時は、やや警戒の表情を示した」と書いたが、「運命共同体」と言いながら、なんというか一種の「軽蔑」に似た心理が垣間見える。

 それでもその国の大統領はアフリカ連合議長なのだから、我慢、我慢。

「今回の訪問を通じてムガベ大統領と中国・ジンバブエ関係の深化および関心を共有する国際・地域問題について踏み込んで意見交換し、両国関係の素晴らしい未来について計画することを期待している」と表明した(人民網)。

 そして、次の「中国アフリカ協力フォーラム」サミットにおける大盤振る舞いには叶わないが、それでも火力発電所に10億ドルの資金援助をすると発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 2人負

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が

ビジネス

独VW、リストラ策巡り3回目の労使交渉 合意なけれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中