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日米安保「思いやり予算」めぐる日米交渉、年10億円超上積みの1893億円で決着
米軍のアジア重視の姿勢から維持・整備に当たる労働者の労務費負担を上積みへ
12月16日、在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」をめぐる日米交渉は、2016年度からの5年間の年平均を1893億円とすることで決着した。写真は沖縄で2013年7年撮影(2015年 ロイター/Nathan Layne)
在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」をめぐる日米交渉は、2016年度からの5年間の年平均を1893億円とすることで決着した。過去5年間の水準より年10億円超増える。米軍が日本に配備する装備を増強していることを受け、維持・整備に当たる労働者の労務費負担を上積みする。
日本政府が16日に発表した。5年に1度見直しが行われる同予算は、根拠となる特別協定が来年3月に改定期限を迎える。安全保障法制の成立で自衛隊の役割が拡大するとの立場を取る日本は減額を求めていたが、アジアへの「リバランス(再均衡)」で哨戒機P8や無人偵察機グローバルホークなど、最新装備の配備を計画する米国は増額を要求していた。
バーやレストラン、図書館など福利厚生施設で働く労働者のうち、日本側が労務費を負担する対象者は4408人から3893人に減らす。一方、装備品の整備士など軍事力に直接関わる労働者の労務費負担対象を1万8217人から1万9285人に増やす。光熱費、基地の維持整備費は減額する。
2011年度から15年度の現行協定では当初、年平均1881億円で合意した。しかし、人件費の基準となる公務員の給与が減額されたため、実際には年1866億円に抑制された。
新協定で決まった年平均1893億円も、人件費の増減で変動する可能性がある。初年度は1890億円を見込んでいるが、人事院勧告で公務員給与が増額されるため、想定を上回るのは確実だ。
(久保信博 編集:田巻一彦)