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地球温暖化COP21が取り組む恐るべき課題
排出目標は問題解決には程遠いが、放っておけば壊滅的な被害を受ける
地球の運命握る 主要国首脳に扮し、地球の温暖化に抗議する人々(パリ)
何年にもわたる複雑な交渉の末、地球温暖化を食い止めるための国際条約の締結が視野に入ってきた。
195カ国から4万人以上の指導者が、11月末から12月11日までパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に集まる。歴史的な合意を取りまとめるのが目標だ。
だが、COP21がスタートした後も、CO2削減で誰がどれだけの責任を負うかといった根本的な利害調整には大きな困難が伴う。
COP21が上手くいくためのヒントを挙げよう。
目標は何か
COP21の主たる目標は各国の二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、世界の平均気温の上昇を産業革命以前の2%以内に抑えることだ。
2度以内に収まったとしても、嵐や洪水は干ばつなどの異常気象が減るわけではない。2%は各国の科学者や政治家が合意できた最低ラインであるに過ぎない。産業革命以降の地球の平均気温は既に1度近く上昇している。
だが2度以内に抑えれば、少なくとも、フロリダが大西洋に沈んだり、アマゾンの熱帯雨林がサバンナになったり、という壊滅的な打撃は避けることができるとみられている。
誰が出席するのか
パリに集まる世界指導者のなかには、世界3大CO2排出国の首脳もいる。アメリカのバラク・オバマ大統領、中国の習近平国家主席、インドのナレンドラ・モディ首相だ。
2009年にコペンハーゲンで開かれたCOP15では、交渉を事務方に任せて各国首脳は最終合意のため最後に到着したが、事務方はその時になってもまだ合意に達することができずにいた。今回は、米中印の首脳が早々に到着することで、難しい決断にも素早く突破口ができるかもしれない。
各国の本気度
気温上昇を2度以内に抑えるため、COP21はあらかじめ各国政府からCO2の自主的削減目標の提出を求めている。会議ではこれを叩き台に、各国のCO2の排出量に応じて削減量を割り当てていく。
これまでのところ、176カ国が自主的削減目標を提出した。だがこのままでは、地球の平均気温は2.7~3.7%℃ほど上昇してしまう。
それでも、現状よりははるかにましなのだ。今のままだと気温は10℃も上昇してしまう。そうなればどんな恐ろしいことが起こるかわからない。
もめそうなところ
1997年に京都議定書が締結されたときは、排出削減義務を負うのは先進工業国だけだった。しかしパリでは豊かな国にも貧しい国にも削減義務を課す。今のところは削減負担の大きな部分を欧米が引き受けることになっているが、今後の発展で排出量の大幅な増加が見込まれる途上国、とりわけ中国とインドが削減に協力してくれなければ、すべては徒労に終わってしまう。
朗報は、気候変動をめぐる政治情勢に変化がみられることだ。地球温暖化が事実だと証明する科学的証拠が次々発表されているほか、異常気象関係のニュースも多い。つい先週も、西半球で史上最大のハリケーンがメキシコに上陸、イエメンのアデン湾では、ほとんど前例のないサイクロンを経験した。
おかげで今は、世界の2大排出国であるアメリカと中国が、少し前なら考えられなかった排出削減「同盟」を作り、G7に属する豊かな国々も、今世紀の終わりまでに化石燃料の使用料をゼロにすると誓っている。
地球温暖化を阻止する国際的な合意を取り付ける上で、今回はまたとない好環境にあるのかもしれない。
From GlobalPost.com特約