最新記事

中国

香港で広がる中国本土アレルギー

日常のショッピングモールで大学で、噴き出しはじめたアンチ本土感情

2015年3月10日(火)15時48分
シャノン・ティエジー

本土は嫌い デパートで英植民地時代の旗を振る香港市民 Tyrone Siu-Reuters

 昨年、中国政府に対する大規模な抗議デモ「雨傘革命」が起きた香港。騒ぎは昨年末に一応の終結を見たが、香港住民の間では政治以外の領域でも「アンチ本土感情」が広がっている。

 先月にはショッピングモールの「ニュータウンプラザ」で、本土から押し寄せる観光客に対する抗議デモが発生。約100人のデモ隊が本土から来たとおぼしき買い物客に、「中国に帰れ! おまえらなんかお呼びじゃない!」と怒鳴りつけた。

 アンチ本土感情は香港大学にも及んでいる。本土出身の2年生・葉璐珊(イエ・ルーシャン)が学生会(日本の学生自治会に相当)の役員に立候補したところ、かつて中国共産主義青年団のメンバーだったことが暴露されて大騒ぎになったのだ。葉は「中国政府の回し者」というレッテルを貼られて、選挙に惨敗した。

 そんな香港住民に対して、本土側も反感を強めている。共産党機関紙系の環球時報は、香港の大学では「赤狩り」が横行していると警告。中国版ツイッターの微博では、香港経済は本土のおかげで潤っているのに感謝が足りないという書き込みも見られる。

 長い間イギリスの植民地だった香港と中国本土の間には、文化や言語の違いから、昔から軋轢があった。英字紙サウスチャイナ・モーニングポストのアレックス・ローは言う。「この街では香港支持派か、本土支持派かどちらかしかいない」

From thediplomat.com

[2015年3月10日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

メキシコ・加・中、関税阻止できず 2月1日発動へ=

ビジネス

FRB元顧問を逮捕・起訴、経済スパイ共謀罪 中国に

ワールド

米、ヘリのブラックボックスも回収 首都空港付近のヘ

ワールド

ベネズエラ、米国人6人解放 マドゥロ大統領と米特使
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    またか...アメリカの戦闘機「F-35」が制御不能に「パ…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立て…
  • 8
    幼い子供には「恐ろしすぎる」かも? アニメ映画『野…
  • 9
    ロシア石油施設・ミサイル倉庫に、ウクライナ軍がド…
  • 10
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 5
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中