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イスラム国

アフガニスタンを脅かすISISの戦線拡大

地球規模でのジハードを叫ぶテロ組織の新たな前線がアジアに生まれる?

2015年1月22日(木)15時29分
フランツシュテファン・ガディ

アフガンへ 写真はシリア北部で勝利の行進をするISIS Reuters

 シリアとイラクで攻勢を強めていたイスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)がついに、アフガニスタンに勢力を伸ばし始めた。アフガニスタン当局は先週、同国南部でのISISの活動を初めて認めた。ヘルマンド州でISISとタリバンが交戦し、20人ほどの死傷者が出たという。

 アフガニスタンでのISISの活動の鍵を握るとみられるのはタリバンの元司令官だ。指導部と反目してタリバンを去り、指揮下の戦闘員にISISの黒い旗を掲げさせているらしい。

 今月中旬には、パキスタン・タリバン運動(TTP)の元報道官でISISにくら替えした男の動画がネットで公開。元報道官は「ここにいる10部隊の指揮官が(ISISの指導者)アブ・バクル・アル・バグダディに忠誠を誓う」と宣言した。

 アフガニスタンの当局者の間では「アルカイダ、タリバン、ISISと旗が変わっても、結局は同じような連中だ」といった見方もある。しかし、アフガニスタンとパキスタンで活動するタリバンと違い、地球規模で「ジハード(聖戦)」を叫ぶISISはさらに厄介な存在だ。

 昨年末に発表された国連の報告書によると、「タリバン指導部はタリバンに加わるべき若者がISISに奪われてしまうと警戒感を募らせている」という。

 挙国一致を掲げながら、タリバンと対立が続く新政権は、ISISにも対処を迫られている。

[2015年1月27日号掲載]

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