ボコ・ハラム2000人虐殺の恐怖
テロリストたちは、灌木に逃げ込んだ住民を執拗に追いかけ殺戮した
ナイジェリア北東部の国境地帯に位置するバガは年明け早々から、自動小銃やグルネードランチャー(擲弾発射装置)で武装したイスラム過激派ボコ・ハラムの猛攻を受け、町のほぼ全域が焼き払われた。
バガはチャド湖に臨む漁業の町。ボコ・ハラム対策のために設置されたナイジェリア、ニジェール、チャドの合同部隊が駐留する基地があり、過去にもボコ・ハラムの攻撃を受けてきた。イスラム法による支配を目指すボコ・ハラムは2009年以降、新指導者の下で過激化し、各地でテロを繰り返してきたが、今回の攻撃は犠牲者数で過去最大規模のものだと、ナイジェリア政府軍は認めている。死者は数百人から最大2000人にのぼるとみられ、さらに数千人の避難民が発生した。
ナイジェリア政府は、来月14日に実施される大統領選挙の準備に追われ、今のところバガ攻撃について公式なコメントを発表していない。
住民に対して残虐極まりない攻撃が行われたのは、この地域の自警団が政府軍側についたことに対する報復とみられる。バガ周辺には今も多数の遺体が散乱している模様だ。
バガが位置する北東部ボルノ州の州都マイドゥグリまで逃れた生存者たちが今、虐殺の模様を語り始めている。それによれば、虐殺が始まったのは1月3日。ボコ・ハラムが熾烈な銃撃戦の末に合同部隊を撤退させ、基地を制圧してからだ。基地を拠点にしたボコ・ハラムはその後何日にもわたってバガとその周辺の村々を繰り返し襲撃した。
ボコ・ハラムは「ほとんどあらゆる方向からバガの町になだれ込み、無差別に発砲し、住民を殺しまくった」と、25歳のトラック運転手イブラヒム・ガムボは地元紙に語った。「他の人たちと一緒に無我夢中で逃げた」
ボコ・ハラムの戦闘員は小型トラックやオートバイで町に入り、灌木地帯に逃げた人々を追いかけて射殺した。犠牲者の多くは、逃げ遅れた女性や子供だった。家に隠れていた人たちは、家ごと焼かれたと伝えられている。
カヌーで湖を渡り、隣国チャドに逃げた人たちもいる。泳いで渡ろうとした人たちの一部は溺死した。湖の中程にある島にざっと1000人がたどり着き、飢えと寒さに耐えていると、国連の難民救援スタッフが報告している。