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中国経済中国版世銀に参加せずオーストラリアの本音
対中FTA交渉では積極的だが、それ以上中国近づくと米豪関係に傷がつく?
使い分け 開発銀行の共同設立では中国と距離を置きたいアボット豪首相 Olivia Harris-Reuters
オーストラリアは戦略上、この話には乗らないほうが賢明だと判断したらしい.
先月末、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に参加しない方針を示した。
AIIBは、アジア諸国に対するインフラ開発資金の援助を目的とする。インドやタイ、マレーシアなど21カ国が設立に合意し、北京に本部を置いて来年中の始動を目指す。当初は意欲を示していたオーストラリアが不参加を決断したのは、明らかにアメリカと日本の圧力を受けてのことだ。
AIIB構想では、資金援助を通じて中国が支配力を強めることを懸念する声が高まっていた。さらに、アメリカやその同盟国が出資する世界銀行やアジア開発銀行との競合が危惧され、日米はオーストラリアにこれらの機関で従来どおり貢献するよう求めている。
オーストラリアは近年、対外投資に後ろ向きになっている。昨年も、開発援助を担当してきた独立政府機関のオーストラリア国際開発庁を外務貿易省に統合して独立性を失わせることを発表し、困惑を招いた。そんなオーストラリアが、新たな開発銀行構想に積極的に関与する意思があるとは考えにくい。
AIIBは期待外れに終わるだろうと、元豪政治家のピーター・リースは米メディアで主張。非効率でお役所的な「銀行というより国連機関のような組織になりそう」だという。
中国がAIIBによって、債務不履行に陥った国を操り、影響を及ぼすことを懸念する向きもある。アジア諸国に軍事協力を求めたり、中国マネーの流入でソフトパワーを強化したりする狙いもあるかもしれない。
だが、アフリカから東南アジアに至るまで、中国は諸外国で既に数多くの大型プロジェクトに資金を投じている。今更アジア開発銀行に対抗する新たな機関を設立する必要性に、疑問の声も上がっている。
オーストラリアが不参加を表明したことは、複雑な対中観を象徴しているようだ。オーストラリアは中国と10年近く自由貿易協定(FTA)交渉を重ね、アボット政権は早期の締結を目指してきた。一方で、貿易以外の分野で中国と密接な関係を結ぶことや、米豪関係を損なうような行動は避けている。
中国と貿易を強化しても戦略的には深入りしない──それがオーストラリアの本音のようだ。
From thediplomat.com