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都市開発イスラム聖地が高級リゾート化?
5つ星ホテルに泊まり、高級ブティックで買い物と、メッカ巡礼の新しい形
砂漠の摩天楼 超高層ビルが林立しマンハッタンならぬ「メッカハッタン」に Muhammad Hamed-Reuters
イスラム暦の12月を迎え、今年も世界中からイスラム教徒がサウジアラビアのメッカを訪れている。ハッジ(大巡礼)が始まったのだ。黒い立方体の建造物で「カーバ神殿」と呼ばれる聖地を囲む大モスクに多くの信者が群がるのはいつものことだが、今年は様相が違う。
モスクの周りにはイスラム風のミナレット(尖塔)と共に無数のクレーンが林立(写真)。聖地は、610年に同地出身のムハンマドがイスラム教を開いて以来最大の建築ブームに沸く。伝統的な中東の街並みは、高層ビルが立ち並ぶ都市に取って代わられつつある。
マンハッタンをもじって「メッカハッタン」とも呼ばれる都市開発の狙いは裕福な巡礼者たち。5つ星ホテルに泊まり、高級ブティックで買い物をし、男女別のスターバックスで喉を潤す──。
現在約300万人の巡礼者は40年には700万人近くに達する見込み。旺盛な需要に応えるべく、サウジの有力実業家ビンラディン家主導で600億㌦のメガ開発を進めている。
商業主義との批判もあるが、一生に一度の大巡礼に訪れた信者にとって、メッカハッタンは戦乱を忘れさせてくれる安息の場所になるかもしれない。
© Muhammad Hamed-Reuters
[2014年10月14日号掲載]