最新記事

テクノロジー

あのモレスキンもデジタルに

伝説のノートとスマートペンが融合して、手書きのメモをデジタル機器にそのまま転送

2014年10月3日(金)12時46分
クリスティン・ホヘナデル

理想のノート 手書きの感覚は残しながらデジタル化ができるのは魅力的 Courtesy Moleskine

 頭の中にあるアイデアを、ペンで言葉やスケッチにして表現する──今でもモレスキンは、そんな崇高な行為の象徴だ。

 ピカソやヘミングウェイ、ゴッホやマティスも使っていたことで知られるモレスキンのノートは、80年代にフランスのメーカーが生産を終了したが、90年代後半にイタリアの企業が復刻させた。現在は名高い伝統に加えて流行に敏感な人々の支持も得て、世界で最も人気のあるノートブランドとなっている。

 そのモレスキンが先月、カリフォルニア州オークランドを拠点とするデジタル・スマートペンのメーカー、ライブスクライブと提携して新製品を発表した。

 角に丸みのある象牙色の紙を使い、しおりのひもが付いた外見は、普通のモレスキンのノートのように見える。しかし中性紙のページに印刷された小さなドットがライブスクライブのスマートペンの動きを捉え、書き込んだ内容をデジタル機器にそのまま転送するという機能はこれまでにないものだ。

 ライブスクライブは、この新製品を「アナログとデジタルの完璧な融合」と宣伝。モレスキンも「新しいノートはペンと紙を使う感覚と、最新のデジタル技術を合体させた」としている。

 このデジタル機能付きのモレスキンなら、いつもの感覚でメモを取ったりスケッチをすることができる一方で、スマートペンを使って録音もできるし、ノートのページ上にあるアイコンをタップしてタグ付けや情報の保存もできる。ブルートゥース機能を使って、アイデアをノートに書き付けながらリアルタイムでパソコンや携帯機器に送ることもできる。

 このノートは今のところ、限定版が30ドル前後で売られている。ノートに使えるライブスクライブ3スマートペンは、150ドルくらいからそろっている。

 使われているテクノロジーは特に新しいものではない。しかし、これまでメモを手書きからデジタルへ移行させることに抵抗があった人も、ライブスクライブのテクノロジーとモレスキンの伝統の融合によって、デジタルに魅力を感じるようになるかもしれない。

 そうなれば両社の提携は、「ノートに手書き」を好む反デジタル派の最後のとりでの1つを守る助けになりそうだ。

[2014年9月23日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ

ワールド

米、ロシアが和平合意ならエネルギー部門への制裁緩和

ワールド

トランプ米政権、コロンビア大への助成金を中止 反ユ

ワールド

ミャンマー軍事政権、2025年12月―26年1月に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中