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レイプドイツよ、お前もか!
首相も女性で男女平等が進んでいると思われた国の恐ろしい現実
性の対象じゃない! ベルリンで行われた反レイプデモ Sean Gallup/Getty Images
驚いた。豊かで厳格そうなこの国でも、「嫌よ嫌よも好きのうち」がまかり通るらしい。
ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州の裁判所が、12年に15歳の少女をレイプした容疑で起訴された男性に無罪判決を言い渡した。少女は「やめて」とはっきり拒絶し、叫び声も上げたが、それだけではレイプと断定するには不十分だとされた。
この判決に女性の権利擁護団体は激しく反発した。だが先ごろ発表された研究報告書によると、こうしたケースは決してまれではないことが分かっている。
ニーダーザクセン州の州都ハノーバーにある犯罪研究所の調べでは、ドイツでのレイプ裁判で有罪判決が出る確率は、過去20年で22%から8%に減少している。
この結果に女性団体はそれほど驚きを示さない。ドイツ連邦女性カウンセリングセンターのアニタ・エックハートは、この国の司法が「極めて保守的だからだ」と語る。「1997年になってようやく、夫婦間のレイプが犯罪とされた」
犯罪研究所の報告書はまた、各州の貧富の差によって、有罪判決率に大きな違いがあることもつきとめた。
ドイツで最も裕福な3州では、レイプ裁判の有罪率は24%。レイプ被害の届け出件数には3分の1の減少がみられた。他方、最貧3州ではレイプ被害の届け出件数は40%増加しているにもかかわらず、有罪率はわずか4%だった。
とはいえ、ドイツが男尊女卑の問題に取り組んでいないわけではない。メルケル政権は閣僚の4割を女性で占め、企業の役員は3割を女性に割り当てるよう促している。現在、ドイツの大企業の役員に就いている女性の割合は約10%だ。
それでも男女平等社会は実現していない。例えば、いまだに子育ては女性の仕事という固定観念は根強い。働く母親は「カラスの母鳥」と揶揄される。カラスの母鳥はヒナ鳥が飛べるようになる前に巣から追い出すことを、ほのめかした言い回しだ。
「多くの面で女性の人生は改善されたけれど」と、エックハートは言う。「構造的な差別やメディアが映し出すイメージ、人々の偏見をみると、私たちの道のりはまだ長い」
From GlobalPost.com特約