最新記事

医療倫理

「子供の安楽死」容認に批判はやまず

安楽死に年齢制限を設けない世界初の法律に正義はあるのか

2014年2月28日(金)12時38分
アリソン・ジャクソン

子供の死ぬ権利 電子投票の結果は賛成86、反対44、棄権12 Francois Lenoir-Reuters

 子供も死ぬ権利を有するべきか? この問いにベルギーは「イエス」と答えた。

 ベルギー下院は先週、子供にも安楽死を認める法改正案を賛成多数で可決した(上院では昨年12月に可決済み)。これで国王の署名を経て発効されれば、世界で初めて安楽死に年齢制限を設けない国となる。

 もちろん厳しい条件も付いた。死期が迫り耐え難い苦痛があるのはもとより、子供でも安楽死の意味を十分に理解した上でそれを望むという意思を何度も明示しなければならない。保護者と主治医が、本人の希望に同意する必要もある。

 世論調査では、国民の過半数が今回の法改正を支持していた。だが保守政党や医師、宗教団体からは強く反対する声も上がった。首都ブリュッセルでは下院の投票が行われる前に「抗議の祈り」をささげたカトリック教会もある。大司教はこう語った。「少年少女たちには経済問題など重要な決定を行う権利はないとしておきながら、死を決断する権利は認めるのか」

 我慢できない痛みに苦しむ子供に冷静な判断ができるのか、という疑問も残るだろう。

From GlobalPost.com

[2014年2月25日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米大統領権限で3カ国に関税、法的根拠巡り専門家から

ワールド

トランプ関税4日発動、メキシコ・カナダ・中国に 貿

ワールド

中国、WTO通じて対抗へ 米国の追加関税に

ワールド

米国関税、為替への影響や米金融政策の動き「見極め」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 7
    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…
  • 8
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 9
    またか...アメリカの戦闘機「F-35」が制御不能に「パ…
  • 10
    トランプ「関税戦争」を受け、大量の「金塊」がロン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 5
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中