最新記事

南アフリカ

マンデラ後継者ズマの「豪邸」報道バトル

ヘリポートやサッカー場付きの「豪華過ぎる邸宅」を地元メディアが猛烈批判

2013年12月9日(月)16時52分
サマンサ・スタインバーン

臨むところ? ズマとメディアの攻防は今後も続きそうだ Pascal Lauener-Reuters

 南アフリカの新聞各紙は先週、クワズールー・ナタール州にあるズマ大統領の邸宅の写真を一斉に掲載した。与党・アフリカ民族会議(ANC)の「禁止令」を無視した行動だ。

 今も数百万人が粗末なバラックで暮らす南アフリカでは、大統領の「豪華過ぎる邸宅」が議論の的になっている。ズマの地元ンカンドラにある豪邸は専用ジムやヘリポート、ミニサッカー場付き。家畜舎だけでも建設に9万8400ドル掛かったと言われている。

 さらに昨年には、2800万ドルの公費を投じて改修が行われたと報道された(ズマ本人は疑惑を否定)。

 ANCは先週、ズマ邸の写真公開は「違法」であり、違反者は訴追される可能性もあると発表した。「こちらは『やめてほしい』と丁重にお願いしている立場だ」と、クウェレ国家安全保障相は記者団に語った。「ホワイトハウスの警備体制を撮影した写真が公開されることはない。この点は、どんな民主主義国家でも同じだ。今のメディアのやり方は受け入れられない」

 ムテトゥワ警察相は、ズマ邸の写真公開は「機密扱い」の「警備体制」の漏洩に当たる可能性があると説明した。

政府の強硬姿勢は「火に油」

 これに対して南アフリカ全国編集者フォーラムは、写真の公開がズマ邸の警備を危機にさらすことはないとして、今後も掲載を続けると声明で発表した。「(写真公開は)国民の強い関心の対象になっていると確信する。残念ながら、閣僚たちは法律を盾にして、邸宅改修疑惑をめぐる説明責任から逃げているように見える」

 メディアはズマ邸の警備状況が分かる写真を公開したことはないと、同フォーラムのムプメレロ・ムカベラ議長は言う。「(大統領が)執務時間の大半を過ごす政府庁舎の写真を公開禁止にするようなものだ」

「禁止令」の翌日、新聞各紙が掲載したズマ邸の写真には、「見てはいけない」「さあ、逮捕してみろ」「禁じられた写真」といった挑発的な見出しが付けられていた。

From GlobalPost.com特約

[2013年12月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏発言に国際社会が反発、「ガザ所有」なら中

ビジネス

FRB、追加利下げに傾く 関税巡り3段階の不確実性

ワールド

アルゼンチンがWHO脱退へ、「深い相違」と説明 米

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、1月52.8に低下 需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 7
    【USAID】トランプ=マスクが援助を凍結した国々のリ…
  • 8
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 9
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中