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イラン「核兵器なきイラン」はかえって怖い?
長く対立してきたアメリカとイランが歩み寄りを見せる一方で、イスラエルやアラブ諸国は「大国」イランの台頭を強く警戒する。
雪解け 穏健派と言われるイランのロウハニ大統領 Adrees Latif-Reuters
ジュネーブで行われたイラン核協議での歴史的合意に対しては、評価が分かれている。欧米はイランの核兵器保有を望まない。一方で中東の周辺国はイランの弱体化を望んでいる。欧米の希望に沿った今回の合意がうまく機能すると、イランは意外と弱体化しない可能性がある。
サウジアラビアには約3000万人の住民がいる。イランは7700万人だ。サウジアラビアを中心とする湾岸協力会議(GCC)加盟国の人口は全体でもとるに足らない規模でしかない。したがってイランが中東の軍事的覇権を握るために核兵器はまず必要ない。健全な経済と適度な経済成長があれば十分だ。
今のイラン経済は健全からは程遠い。5年前でさえ、イランは経済制裁によって成長を大きく阻害されていた。さらにここ数年で経済制裁はますます強化され、イランの経済成長に壊滅的な打撃を与えた。だがジュネーブでアメリカのオバマ政権は、イランが核兵器問題で譲歩すれば経済制裁を少しずつ緩和する流れを作った。核拡散防止というアメリカの立場からすれば大きな前進である。
イランは核兵器開発の予算や技術者の規模を縮小することで、経済制裁を解除してもらい強国になることができる----核兵器を保有しつつも経済的に弱体化した状態よりも、そのほうが脅威だ。地域的な狭い観点からすれば、おそらく湾岸諸国にとっては経済制裁の維持こそが課題なのだ。経済制裁はイランを貧しいまま、弱いままにしておく----貧しく弱いイランこそ、湾岸諸国が欲しているものだ。核問題とは関係なく。
© 2013, Slate