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エネルギー「原発は必要」トルコのエネルギー戦略
日本やロシアと手を組み原発建設に乗り出す一方、石油やガスの新たな供給源にも目を光らせる
「自立」を目指して トルコのエルドアン首相(右)は安倍と原発・科学技術協力を約束(10月29日) Osman Orsal-Reuters
トルコには原子力発電所が必要だ──エルドアン首相は10月末、日本の安倍首相との共同記者会見でそう述べた。トルコ国内2カ所目となる原発建設で、三菱重工業や仏GDFスエズなど企業連合の受注が決まった日のことだ。計画では黒海沿岸のシノップに220億ドルを掛けて、4800メガワット級の原発を建設する。
エネルギー資源をほとんど輸入に頼るトルコだが、経済成長に伴いエネルギー需要も伸張。新たな資源を積極的に求めている。南部メルシンでは、ロシアの国営原発会社ロスアトムが手掛ける初の原発建設がもうすぐ始まる。
エルドアン首相は5月、今後10年のうちに原発を稼働すれば天然ガス輸入を72億ドル減らせると語った。石油やガスの探査も拡大する予定で、シリア国境近くで石油掘削を始めている。
シリアには25億バレルの確定原油埋蔵量があるとされ、これは地中海東部で最大規模だ。さらにシリアには最大で500億トンのオイルシェールがあるとトルコ政府はみている。
内戦で混乱するシリアを横目に、トルコがエネルギー戦略で本格的なのろしを上げようとしている。
[2013年11月12日号掲載]