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シリア米軍史上、最も不人気な戦争が始まる?
シリア政権による化学兵器の使用で軍事介入を検討するアメリカだが、国民の支持はたったの9%
「一線を越えた」攻撃 ダマスカス郊外で化学兵器による攻撃の被害を受けたとされる子供たち(8月21日) Bassam Khabieh-Ruters
ジョン・ケリー国務長官は混乱が続くシリア情勢について、化学兵器の使用が行われたと断定する声明を26日に読み上げた。さらにはアサド政権による攻撃の可能性が高いとの見方を強め、軍事介入についても検討を進めているという。
だが、アメリカ国民の反応は冷ややかだ。ロイターと世論調査会社Ipsosが行った調査によれば、シリア介入に賛成する国民は9%で、反対は60%にも上った。世論の反対は強く、この数字が劇的に変わりでもしなければ米軍は、かつてないほど国民の支持が得られない戦争に突入することになる。
2011年のリビアへの米軍介入にはアメリカ人の47%が賛成していたが、著名な政治ブログ「トーキング・ポインツ・メモ」は当時、「過去30年間で最も支持が得られないアメリカの軍事行動」と指摘した。イラク戦争(03年)の開戦当時の支持率は76%、アフガニスタン紛争(01年)の支持率は90%だった。
過去をさかのぼって見てみると、NATO(北大西洋条約機構)が軍事介入したコソボ紛争(99年)直前の世論調査では国民の支持は46%だったが、当時は「生ぬるい」と評された。
さらに父ジョージ・ブッシュ大統領によるソマリア派兵「希望の回復」作戦(92年)では、81%が大統領は「正しい行動をしている」と答え、グレナダ侵攻(83年)は開戦当時、53%の国民が支持していた。イラク戦争やベトナム戦争への反対が最も高まったときでさえ、支持率は30%前後にとどまっていた。
もちろん、いざとなればアメリカ人の気持にも変化が訪れるだろう。実際に米軍による攻撃が始まり、国民は愛国心から軍事行動を支持すべきだとの考えが広がれば、シリア介入を後押しする声も高まると思われる。
イラク戦争当時も戦争を支持する意見は、介入までの数カ月にわたって外交関係が壊れるにつれ、52〜59%だったものが70%ほどに上昇している。だが、それでもシリア介入が現実的になった時点でのこの数字は、あまりに低いと言わざるを得ない。
シリアの場合、たとえ介入への支持が5倍になったとしても、その数字は45%にしかならない。決して支持が高かったとは言えないリビア介入と同程度だ。ドナルド・ラムズフェルド元国防長官はかつて、「君たちは国民とともに戦争に行くんだ」と語った。だが、今回はその言葉が当てはまらないかもしれない。
© 2013, Slate