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同性愛ロシア陸上選手が反同性愛法に抗議のキス?
同性愛支持と不支持でアスリートも真っ二つに分かれた世界陸上モスクワ大会
歓喜か抗議か 400メートルリレーの表彰台でキスをしたロシアの選手 Grigory Dukor-Reuters
ロシアで開催された世界陸上モスクワ大会で17日、表彰台に上がったロシアの女性選手2人がキスをした。この行為は、ロシアで6月に制定された同性愛を促す行為を禁じる「同性愛宣伝禁止法」に抗議するためのものではないかと、メディアで騒がれている。
キスを交わしたのは、女子400メートルリレーで金メダルを獲得したロシアチームのクセニア・リジョワとタチアナ・フィロワ選手。英スカイニュースは、このキスを政治的メッセージだと確信しているが、他のメディアはそこまで断言できないようだ。主に同性愛に関するニュースを報じるゲイ・スター・ニュースは、2人の選手が何の声明も出していないため、あのキスがただの歓喜の愛情表現なのか同性愛宣伝禁止法に反抗したものなのか「不明だ」とした。
いずれにしても、2人の選手は同性愛宣伝禁止法に違反したことになり、法的に罰せられる可能性もある。
このキスの前日には、ロシアの女子棒高跳び選手エレーナ・イシンバエワが、自身の同性愛に関するコメントが誤解されたまま世界で報じられていると弁明したばかりだ。「英語は私の母語ではないので誤って伝わっているかもしれない」
イシンバエワは15日、「私たちは普通のノーマルな人間。男性は女性と、女の子は男の子と生きていく」と、同性愛宣伝禁止法を擁護する発言をした。だがその後に前言を撤回して表現を和らげた。イシンバエワいわく「人々は他国の法律を順守すべきだ。特にその国にゲストとして招かれているときは」と、自分は言いたかったのだと主張した。彼女が同性愛について発言したのは、スウェーデンの選手が虹色のネイルアートで同性愛者の権利支持を表明した後だった。
同性愛宣伝禁止法は成立以降、各方面から非難されており、来年ロシアで開催されるソチ冬季五輪のボイコットを呼びかける声も高まっている。アスリートたちもこの法律に批判的だ。
男子800メートルで銀メダルを獲得したアメリカのニック・シモンズ選手は、ロシア国内で同性愛宣伝禁止法を批判した初のアスリートとなった。彼はロシア国内にいる間は何も言わないと心に決めていたが、「もう黙っちゃいられない」とCNNに語った。ロシアの路上でキスしていた女性2人に怒った男性が彼女たちを押し倒そうとしたCNNの映像を見て、抗議の声を上げずにはいられなくなったと言う。「彼女たちはお互いへの愛を表現したいだけだ。(なのにあんな仕打ちを受けるなんて......)ぞっとするよ」
© 2013, Slate