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南アピストリウス事件に犯罪大国の闇を見る
男尊女卑思想を振りかざし、暴力で女を支配するのはピトリウスだけではない
堕ちた英雄 DV疑惑も浮上したピストリウス Siphiwe Sibeko-Reuters
侵入者と勘違いした結果の事故という供述が認められるのか、計画殺人だという検察の主張が通るのか。南アフリカの義足の五輪ランナー、オスカー・ピストリウスが自宅で恋人を射殺した事件の裁判では、両者の言い分は真っ向から対立し、多くの謎が残されている。
だが、この事件で確かなことが1つある。南アでは社会階層や人種を問わず、社会の隅々にまで暴力犯罪が蔓延しているということだ。
ピストリウスが家庭内暴力(DV)の加害者だったと報じられても誰も驚かないほど、南アではDVが横行している。黒人か白人か、富裕層かスラム街の住人かを問わず、多くの男たちが男尊女卑思想を振りかざして妻や恋人を暴力で支配する。
一方、強盗と間違えたというピストリウスの言葉が真実だとすれば、それは厳重に警備された豪邸に住んでいても、常に身の危険を感じずにはいられない犯罪社会の実情を象徴している。
かつてアパルトヘイト(人種隔離政策)が存在した南アでは、人種的憎悪に基づく犯罪が多発していると思われがちだ。しかし現実には、何の理由もなく無差別に犯罪に巻き込まれるケースがあまりに多い。
[2013年3月 5日号掲載]