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アフリカ民主国家マリを物騒にしたあの事件
すべては、イスラム武装勢力の北部制圧を許した2012年3月の軍事クーデターによる混乱から始まった
軍事介入 イスラム過激派によるマリ制圧を止めに来たフランス軍兵士(今年1月14日) Joe Penney-Reuters
西アフリカのマリでクーデターが発生した。兵士の反乱のきっかけは、首都バマコ近郊の軍事キャンプを訪れた国防相への抗議行動だった。
独立を求めるトゥアレグ人の反政府武装勢力、アザワド解放国民運動(MNLA)と戦う兵士らは、軍の装備が不十分だと不満を抱いていた。MNLAは、昨年のリビア内戦の際にカダフィ政権側で戦った民兵が持ち帰った武器を保有しているとされ、この数カ月間の軍との交戦で相次いで勝利を収めていた。
クーデターが計画的なものだった形跡は今のところなく、市民や軍内部の支持をどれほど得られているかは不明だ。報道によれば、トゥーレ大統領は支持者に守られて無事だが、今後の行方は予断を許さない。
マリ北部などの砂漠地帯を拠点とする過激派「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」と戦うアメリカにとって、マリの戦略的意義は大きい。アフリカの紛争地域にあって過去20年間、比較的安定した民主的国家であり続けてきたマリで起きた今回の事件は、テロ組織や干ばつによる食糧不足に悩む地域全体にとっても大きな懸念だ。
[2012年4月 4日号掲載]