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パレスチナアラファト毒殺説の真相は
毒殺かエイズか脳卒中か? 04年にフランスで死亡して以来、イスラエルによる暗殺も疑われている
謎は解けるか 8月末、フランス当局は本格的捜査に乗り出した(写真はアラファトの死を悼むパレスチナ人) Ibraheem Abu Mustafa-Reuters
04年11月11日、パレスチナ自治政府のアラファト議長がフランスで死亡したが、死因は発表されなかった。そして8年後の今、死亡直後からささやかれていた「暗殺説」が再燃している。
中東の衛星テレビ局アルジャジーラは先週、アラファトの下着に付着した尿の染みからポロニウム210が検出され、毒殺の可能性が浮上したと報じた。
この説が証明されれば、状況は一変する。多くのパレスチナ人は今でも、アラファトはイスラエルによって毒殺されたと信じているのだ。
ポロニウムは、06年にロンドンで元KGB職員アレクサンドル・リトビネンコの毒殺に使用された放射性物質。アルジャジーラによれば、イスラエルは希少なこのポロニウムを保有しているという。
アラファトの遺品を分析したのはスイス・ローザンヌの放射線物理学研究所だ。広報担当者はこう言う。「検出されたポロニウム210の量は通常予想されるレベルより高い。だがアラファトの死の直前の症状は、ポロニウム中毒の症状と一致しない。結論を出したいなら、遺体を調べるしかない」
パレスチナ自治政府はそのつもりだ。アルジャジーラの報道の後、政府は調査のためにアラファトの遺体を掘り起こすと発表した。
一方のイスラエルは診療記録が重要だとしているが、記録の公表は予定されていない。「真実は診療記録にある。アラファトはフランス軍の病院で死んだ。記録はフランス当局と彼の妻が持っているはずだ」と、イスラエル外務省の報道官は言う。
米ニューヨーク・タイムズは05年にアラファトの診療記録を入手し、死因は「特定できない感染症に起因する出血性障害から生じた脳卒中で、噂されているような毒殺やエイズの可能性は考えにくい」と報じた。
アラファトの主治医だったアシュラフ・アル・クルディは07年にヨルダンのニュース番組で、アラファトの血液からHIVウイルスが見つかったことを明かした。だがアラファトはエイズで死んだわけではなく、ウイルスは死の直前にアラファトの血管に注射されたものであり、本当の死因は毒殺だと主張した。
同じ時期にアルジャジーラは生放送でアル・クルディにインタビューした。しかしクルディがHIVウイルスの件に触れるや否や、放送を打ち切った。
[2012年7月18日号掲載]