最新記事

環境

気候変動で皮膚癌リスクが増大する

地上が暑くてたまらないと思ったら、成層圏にも危険な影響が及んでいた

2012年7月27日(金)17時02分
アレクサンダー・ベサント

要注意 日光を無害にしてくれるオゾン層が減っている?  Miguel Vidal-Reuters

 地球の温暖化が進めば、皮膚癌のリスクが高まる──ハーバード大学の科学者らが新しく発表した研究によれば、夏の嵐で上空に運ばれた水分がオゾン層を破壊し、ひいては皮膚癌を引き起こすという。

 仕組みはこうだ。激しい雷雨で生じた水蒸気が、通常は乾燥状態にある成層圏に上昇すると、成層圏が不安定になりオゾン層を破壊する。オゾン層には、紫外線や放射線から人間や動物の肌、植物などを守る働きがある。北極圏の氷を守る作用もあるが、これは急速に溶けて減っており、既にオゾン層の破壊が進んでいる証拠ともいわれる。

 今回発表された研究は、オゾン層の破壊が急速に進行し、それが人類の健康に及ぼすリスクの高さが示されたという点で衝撃的だった。わずか1週間で、距離にして100キロのオゾン層の最大25~35%が破壊され得るという。

「いま私が最も危機感を抱いている現象だ」と、同研究を主導したハーバード大学のジェームズ・G・アンダーソン教授(大気科学)は語っている。「今回の研究は、気候変動とオゾン層破壊の因果関係を初めて明らかにしたもの。紫外線の増加により、皮膚癌を発症するリスクも高まっている」

From GlobalPost.com

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

グリーンランドに「フリーダムシティ」構想、米ハイテ

ワールド

焦点:「化粧品と性玩具」の小包が連続爆発、欧州襲う

ワールド

米とウクライナ、鉱物資源アクセス巡り協議 打開困難

ビジネス

米国株式市場=反発、ダウ619ドル高 波乱続くとの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助けを求める目」とその結末
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    米ステルス戦闘機とロシア軍用機2機が「超近接飛行」…
  • 6
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク…
  • 7
    ノーベル経済学者すら「愚挙」と断じるトランプ関税.…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    逃げる犬をしつこく追い回す男...しかしその「理由」…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中