最新記事

インタビュー

ビルマ大統領「スー・チー閣僚起用の条件」

見せ掛けの民政移管か、ビルマの真の改革が始まるのか。テイン・セイン大統領が初めて外国メディアに語った未来

2012年4月2日(月)16時13分

行動派 テイン・セインは新政権発足直後から数々の改革を実施して国際社会を驚かせているが Jason Lee-Reuters

 昨年3月の民政移管と前後して、ビルマ(ミャンマー)は確かに変わりつつある。民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーが自宅軟禁を解かれ、ヒラリー・クリントン米国務長官が半世紀ぶりにビルマを訪問した。先ごろ、元本誌記者のラリー・ウェーマスが外国人記者として初めて、テイン・セイン大統領にインタビューした。

*  *  *  *


──欧米はあなたが主導する変化を見守っている。政治犯を釈放し、4月1日の連邦議会の補欠選挙にスー・チーの出馬を認め、少数民族と停戦合意を結んだ。短い間に驚くべき変化だ。この国を変えようと思った動機は。

 現在進めている改革のプロセスは、国民から強い支持を受けている。平和と安定、そして経済発展を実現したいという人々の希望が根底にあるからだ。

 これらを実現するためには、国内の政治パートナーと良好な関係を築くことが重要だ。だからわれわれはスー・チーと対話を始めた。私は彼女と会い、2人の間に理解が生まれた。

──次のプロセスは?

 今後は透明性を大切にしたい。世界の国々と友好関係を維持していきたい。

──具体的には?

 スー・チーの率いる野党・国民民主連盟(NLD)が政党として登録され、彼女も補欠選挙に立候補する。人々が彼女に投票すれば当選して議員になり、議会は温かく迎えるはずだ。

 もう1つ強調したいのは、国内の少数民族の武装グループのことだ。何よりも彼らと信頼関係を築く必要がある。いくつかの点では既に彼らと合意に達しているものの、彼らが武装解除して合法的なグループに戻ることが必要だ。

──カレン族の反政府勢力とは実際に停戦合意を結んだ。

 この国には11の武装グループがあり、われわれはそのすべてと対話をしている。

──スー・チーが選挙で善戦したら閣僚に起用するか。

 選挙の結果次第だ。当選したら彼女は議員になる。現在の閣僚は全員が議会の承認に基づいて任命されている。彼女が議会の任命や承認を得たら、閣僚として受け入れることになる。

──アメリカとビルマの関係に期待することは。

 重要な点は3つある。1つ目は、アメリカとの対話は既に始まっているということ。クリントン米国務長官がこの国を訪問し、今日はミッチ・マコネル議員(共和党上院院内総務)の訪問を受けた。

 2つ目は、(外交関係を)大使レベルに格上げしたいということ。そして3つ目は、アメリカとEUがわれわれに経済制裁を実施していることだ。もう20年近くになる。制裁を緩和し、最終的には解除してほしい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

20日午前に新たな予算案採決と米下院議長、政府閉鎖

ビジネス

今週の利下げはきわどい判断=SF連銀総裁

ワールド

トランプ氏、EUに石油・ガス購入要求 「関税」警告

ワールド

ロシア中銀、予想外の金利据え置き 過去の引き締めが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 7
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 8
    「均等法第一世代」独身で昇進を続けた女性が役職定…
  • 9
    クッキーモンスター、アウディで高速道路を疾走...ス…
  • 10
    米電子偵察機「コブラボール」が日本海上空を連日飛…
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 8
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 9
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 10
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中