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中東シリアの大量虐殺を傍観する国際社会の大罪
国連安保理は非難決議を採択できず、アナン特使の仲介も実らないなか、またも多くの市民が犠牲に
無策の末 子供の無残な遺体も発見されている Reuters
アサド政権による反体制派への激しい弾圧が続いているシリア。反政府勢力の拠点だった中部の都市ホムズは熾烈な攻防の末に政府軍に奪還され、住民への報復行為は激しさを増す一方だ。
先週にはコフィ・アナン前国連事務総長が国連とアラブ連盟の合同特使としてシリアを訪れ、アサド大統領に弾圧の即刻中止を求めたが、会談は物別れに終わった。3月11日、アナンが何の成果もないまま首都ダマスカスを去ったわずか数時間後、「虐殺」の実態を伝える衝撃的な写真がフェイスブックに掲載された(注:残酷な写真です)。
シリアの反政府活動家らがアップした約40枚の写真は、ホムズのカーム・エルゼイトウン地区で11日に撮影されたもので、頭部に大きな穴の開いた子供や黒焦げの遺体が並んでいる。
「冷酷な」殺戮行為があったことは政府当局も反政府陣営も認めているが、誰の犯行かという点をめぐっては主張が真っ向から対立している。
ロシアと中国がシリア非難決議に反対
国連安全保障理事会はシリアに弾圧停止を求める決議案の採択を2度に渡って行ったが、いずれも常任理事国であるロシアと中国の反対で廃案に。シリアの反体制勢力が結成した「シリア国民評議会」は、複数の外国政府の支援を受けて反体制派兵士の武装を進めていると発表した。
反政府陣営は、ホムズでの虐殺は政府軍と関係が深い民兵組織「シャビハ」の仕業だと主張している。一方、シリアの国営メディアは大量殺戮の事実は認めたものの、翌12日の国連安保理外相級会合に先立って「アサド政権に国際的な非難が集まる」ことを願う「テロリスト」によるものだと報じた。
反体制派グループの見解も一枚岩ではない。活動家のハディ・アブドラは「シリア政府軍と民兵組織」が市民を殺害し、子供26人と女性21人の遺体が見つかったとAFP通信に語った。
一方、反政府組織のネットワーク「地域調整委員会(LCC)」によれば、11日の死者はシリア全土で108人。ホムズ市内で死亡したのは70人で、そのうち45人が虐殺の犠牲者だという。
11日の虐殺が起きる数時間前、アナン特使は停戦の合意を取り付けられないままシリアを後にしていた。反政府勢力もアサド大統領も停戦調停に応じなかったためだ。
無差別殺戮の激化を受けて、ホムズを脱出してレバノンなどに向かう人の数は増え続けている。「カーム・エルゼイトウンでの虐殺のニュースを知り、町を脱出した」と、夫と娘とともにレバノンのトリポリにたどり着いた女性は語っている。