最新記事

東南アジア

シンガポールがカジノ規制を厳格化?

ラスベガスを凌ぐカジノ天国となったシンガポールがギャンブル依存症の経済弱者を救う苦肉の策

2011年11月15日(火)17時51分
パトリック・ウィン

牽引役 シンガポール経済はカジノ効果で好景気に沸いている(カジノ総合リゾート「マリーナ・ベイ・サンズ」) Pablo Sanchez-Reuters

 借金のある人、自己破産した人、生活保護を受けている人はカジノに入場できません──そんな法案を、シンガポールの国会議員や精神カウンセラーらが議会に提出しようとしている。

 シンガポールの日刊紙ストレーツ・タイムズによれば、法案の狙いは「経済的に不安定」な人々をギャンブル依存症から守ること。一攫千金を夢見てカジノにのめりこみ、さらなる深みにはまり込むケースが急増しているのだ。

 シンガポールにとってカジノは、国を挙げて推進してきた観光客誘致の目玉。今年のカジノ収入は、ラスベガスを上回る64億ドルに達するとみられ、マカオに次ぐ世界2位に躍り出る。

 国家が市民生活を厳しく統制してきたシンガポールだけに、ギャンブルという新興産業が国民の道徳心を破壊するとの批判が起きた時期もあった。だが、シンガポールの好景気を牽引するカジノ産業を規制するのは非現実的。ギャンブルにのめり込みそうな危険人物をカジノから締め出すのが一番手っ取り早い、ということなのかもしれない。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、カーニー氏と電話会談 カナダ総選挙後に

ビジネス

米2月PCE価格+2.5%、予想と一致 消費が回復

ワールド

仏大統領、イスラエルのヒズボラ攻撃「正当化できず」

ワールド

ロシア「エネ施設攻撃停止から撤退も」、ウクライナ違
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中