最新記事

中国政治

チベット僧の焼身自殺は『文化的虐殺』だ

僧たちを自殺に駆り立てるのは、中国当局による長年の弾圧による絶望だとダライ・ラマは訴える

2011年11月8日(火)17時53分

悲憤 ダライ・ラマは先週、復興祈願のため宮城県や福島県を訪れた Tomas Bravo-Reuters

 中国・四川省で、当局の弾圧に抗議するチベット僧の焼身自殺が相次いでいる。その数は、今年に入って少なくとも11人。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマは、中国当局による「文化的虐殺」のせいだと激しく非難した。

 自殺者の大半は、チベット自治区に隣接する四川省チベット族チャン族自治州アバ県に住む僧侶や尼僧。11月3日にも、四川省内のカンゼ・チベット族自治州タウ県で35歳の尼僧が焼身自殺を図った。
 
「中国共産党はチベット人の生活はバラ色だというプロパガンダを行っている」と、東日本大震災の犠牲者を供養するため来日中のダライ・ラマは会見で語った。「(だが四川省内のチベット族自治区を)訪れる中国人の多くが、ひどい状況だとの印象を受けている。一種の『文化的虐殺』だ」

「過去10〜15年間に渡って中国当局は強硬な態度を取り続けている。絶望的な状況のせいで、こうした悲しい事件が起きる」

 一方、中国当局は焼身自殺への非難を声高に叫んでいる。国営新華社通信は、先日の尼僧の自殺のニュースを「ダライ・ラマ信奉者が影で糸を引き、扇動した」行為だというお決まりのフレーズで報道。中国外務省の広報官は「焼身自殺を非難せず、大騒ぎして後に続くよう煽るのは、良識と人間としての最低限の道徳に反する行為だ」と語った。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中