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検閲中国がアイドル発掘番組を許せない理由
視聴者4億人の人気番組だが、優勝者を決める人気投票が欧米式の民主主義にそっくりで反動的過ぎた
スター誕生 中国当局に中止された『快楽女声』(06年の優勝者) Reuters
中国人が投票に夢中になっている──といってもアイドル発掘番組『アメリカン・アイドル』の中国版、『快楽女声』の話だ。
ただ04年に『超級女声』としてスタートしたこの人気番組は、来年中止されることになった。「当局者の一部が人気投票は欧米式の民主主義にそっくりで反動的と見なし、圧力をかけた」ためだ。
決勝では視聴者が携帯メールを使って気に入った出場者に投票できる。人気絶頂期には4億人(アメリカとメキシコの総人口にほぼ匹敵する)が視聴した。これだけの票が集まれば、優勝でも準優勝でも大変な名声と富が手に入る。
こうした状況が中国共産党の検閲当局の気に障るようだ。06年3月の米タイム誌によれば、当局は当時既に、番組は「社会主義社会の調和を乱す」ものだという懸念を示していた。
半面、この手のオーディション番組は民主主義の無能さを証明しているのではないかという主張もある。政府系英字紙チャイナ・デイリーはかつてこう皮肉った。「民主主義制度の模倣によって選ばれるのが、最も下手な歌手だというのは一体なぜだろう?」
[2011年10月 5日号掲載]