最新記事

米中関係

ウォール街占拠を民主革命と煽る中国

ウォール街デモが続く中、ここぞとばかりにアメリカをたたく中国の知識人たち

2011年10月6日(木)17時19分
パトリック・ウィン

デモ隊は左寄り? 北朝鮮と中国がほくそ笑むウォール街占領デモ(10月5日) Mike Segar-Reuters

 アメリカの「ウォール街を占拠せよ」デモに北朝鮮が大喜びしているのは周知のところだ。

 全体主義の北朝鮮でデモに参加することは、収容所への片道切符を手にするようなもの。最高指導者の金正日総書記とその一族を神格化する政府系の朝鮮中央通信社は、「庶民の生活をかえりみず、銀行救済に巨額の費用をつぎ込んだ政府をデモ参加者たちは強烈に批判している」と、反ウォール街のデモ隊に声援を送るかのような記事を配信している。

 北朝鮮だけではない。中国の専門家たちも同様に抗議デモ隊に同情を示している。政府系の英字紙チャイナ・デイリーは「アメリカメディアのデモに関する報道規制は恥ずべきことだ」と題した社説の中で、アメリカの報道機関がデモの規模拡大を認めることを拒絶していると主張した。

 ニューヨーク駐在のチャイナ・デイリー編集者はこう書いている。「世界中で様々なデモを報じて名を上げたジャーナリストたちはなぜこの大衆デモをあまり報じないのか。今回の沈黙は、北アフリカや中東で彼らが見せたデモ取材への熱意と見合っていない」

「デモ隊すべてが左寄りなのかどうかは分からない」と記事は続ける。「だが(デモ隊は)マルクス・エンゲルスの共産党宣言やスペイン革命についての学習会もスケジュールに組み込んでいる」

「ウォール街革命、万歳!」

 ただ、このチャイナ・デイリーの糾弾もまだかわいいものだ。

 北京市に拠点を置く米ニューヨーカー誌のライターは、「万里のウォール街革命、万歳!」と賞賛する記事を書き、別の記事ではデモを行うアメリカ人の若者を「占拠世代」と呼んだ。

 中国の知識人や活動家が署名・公表したとされるメッセージは世界の資本主義者たちにこう警告している。

「『ウォール街革命』の勃発は、大衆による民主革命が世界に広がり始めているという歴史的な兆候だ」

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

製造業PMI11月は49.0に低下、サービス業は2

ワールド

シンガポールGDP、第3四半期は前年比5.4%増に

ビジネス

中国百度、7─9月期の売上高3%減 広告収入振るわ

ワールド

ロシア発射ミサイルは新型中距離弾道弾、初の実戦使用
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中