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クルド問題アラブの手本に成り切れないトルコ
イスラム教と民主主義を両立させている中東の「優等生」トルコだが、少数派クルド人は到底満足していない
増える犠牲者 クルド人の信頼を失いつつあるエルドアン首相 Umit Bektas-Reuters
アラブ諸国で民衆蜂起が相次ぐなか、完全にではないにせよ、イスラム教と民主主義が「折り合いをつけている国」としてトルコが注目を浴びている。
エルドアン首相は自ら率いる公正発展党(AKP)の民主主義的な実績をアピールしつつ、近隣のイスラム諸国に「国民の声に耳を傾けよ」と促している。だが国内では、少数派のクルド人による暴動の拡大と改革の要求に頭を痛めているのが実情だ。
南東部では、クルド人の若者と警察が日常的に衝突している。非合法化された武装組織「クルド労働者党(PKK)」と軍の争いも激しさを増しており、今年に入って100人以上が死亡している。
事態打開の鍵を握るのは、憲法の改正計画だ。軍事クーデター後の82年に制定された現行憲法は長年、改革の障害と見なされてきた。その改正はクルド人にとって政治的、社会的、文化的に平等な権利を手にするチャンスを意味する。
王立国際問題研究所(ロンドン)のファディ・ハクラは、「クルド問題をめぐる政策の主導権は、軍ではなく政府が担うべきだ」と指摘している。
[2011年8月31日号掲載]