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アフリカソマリア飢饉、支援を拒む過激派の正体
過去60年間で最悪の飢饉にあえぐ市民の姿を尻目に、国際社会からの支援をはねつける過激派組織アルシャバブのあきれた実態
待ったなし アルシャバブの支配地域では200万人以上が今も食糧支援を受けられずにいる(首都モガディシオ、7月28日) Omar Faruk-Reuters
干ばつや内戦の影響で数百万人が飢えに苦しむマリアの食糧危機は、一刻の猶予も許されないほど深刻な事態に至っている。しかし、国際社会からの支援はなかなか現地に届かない。最大の障害は、国際テロ組織アルカイダとつながりがあるソマリアのイスラム過激派組織「アルシャバブ」だ。
国連は7月20日、ソマリア南部の2地域で飢饉の発生を宣言し、国連世界食糧計画(WFP)などの支援団体が大量の支援物資をソマリアに送りこんでいる。しかし両地域を支配下に置くアルシャバブが、物資の輸送を阻止。以前から国際支援団体を攻撃し続けている彼らは、食糧や医薬品を燃やし、支援スタッフを殺害するなど暴挙を繰り返している。
国連とアメリカは、飢饉を一段と深刻化させるアルシャバブの対応を非難している。ロイター通信によれば、国連の報告書にはこう書かれている。「ソマリアへの人道支援を阻む唯一にして最大の障害は、アルシャバブを中心とした反政府武装勢力による輸送経路の遮断だ」
この報告書によれば、国連の関係機関から資金援助を受けて支援活動にあたっている複数のソマリア国内の団体が、アルシャバブに「税金」を支払っている可能性があるという。アルシャバブは支配地域における国連や支援団体の活動を容認する代償として、賄賂も要求していた。金が支払われないと、食糧の在庫や医薬品を燃やしたこともある。
黒幕は組織内の外国人メンバー
アルシャバブは2010年以降、支配地域内における外国の支援団体の活動を禁じていたが、今年7月に入ってその措置を取り下げた。とはいえ、WFPをはじめとする大手支援団体に対しては、今後も活動を認めないという。
政治アナリストらは、飢饉宣言によってアルシャバブは難しい立場に追い込まれたと指摘する。食糧支援を受け入れなければ市民の不満が爆発する恐れがあるからだ。しかしアルシャバブ内の強硬派にとっては、欧米の組織が自分たちの支配地域で食料を配布する事態は受け入れがたい。
WFPによれば、アルシャバブの支配地域で飢えに苦しみながら、支援を受けられずにいるソマリア市民は200万人以上。WFPは今後も支援が必要な地域へのアクセス確保に努めると同時に、最後の手段として空中からの物資投下も検討している。
前述の報告書によれば、アルシャバブが欧米諸国やキリスト教と関係する慈善団体にとりわけ強い敵意を抱いているのは、組織内に入り込んだ外国人メンバーからの影響が大きいという。「アルシャバブ指導層が外国人メンバーから悪影響を受けているのは明らかだ」と、報告書には記されている。情報筋によれば、アルシャバブには外国からの聖戦士も数百人参加しているらしい。
アルシャバブは支援団体に対して、支配地域への「立ち入り料」として1万ドルを支払うよう求めている。さらに、「登録料」として1万ドル、「更新料」として半年ごとに6000ドルを要求。そのうえ、支配地域に運び込む支援物資の価格の20%相当、すべての車両に10%の税金を課している。