最新記事
日本菅直人という名のストレステスト
問題は震災対応や資質だけではない。責任逃れを続ける「第4の災害」は、政治をいかにメルトダウンさせたか
破壊屋 菅は日本にまれにみるダメージをもたらしている Toru Hanai-Reuters
「ペテン師」「最低の人間」「無能」「権力にしがみつきたいだけ」「存在そのものが大災害」──日本の歴代総理大臣の中で、菅直人首相ほど罵詈雑言を浴びせられた人物はいただろうか。
東日本大震災と福島第一原発事故をめぐる対応の迷走ぶりや、退陣表明をしても「居座り」続けることへの不満から一時、国会内の民主党国会対策委員会の役員控室には「宰相不幸社会」「百害あって一利なし」と菅を批判する紙が貼られたほどだ。
国会議員として品位に欠ける行為かもしれないが、菅がこの国を不幸に向かわせているという指摘は、あながち間違いではない。
震災から4カ月。菅はその間、震災復興や原発事故の収束を遅らせるような言動に終始してきた。そして先週、菅が復興相に任命した松本龍が放言騒動を起こしてわずか9日で辞任。自らの発案で原発再稼働の条件として持ち出したストレステスト(安全性評価)は「唐突過ぎる」と批判を浴び、海江田万里経済産業相の辞任騒ぎに発展、早期退陣論が再燃した。
当の菅は「責任を感じている」らしいが、実際に責任を取るつもりはないようだ。まるでこの国全体が、どれだけの政治的な混乱に耐えられるか、ストレステストにかけられているようだ。
確かに、菅に向けられた批判の中には感情論の域を脱しないものもある。日本はこれまで「何となく嫌い」「けしからん」というイメージだけで政治家や総理大臣の首を何度もすげ替えてきた。失言や形式的な政治とカネの問題でやり玉に挙げられ、多くの政治家が失脚させられてきた。
ただどんなに不人気で1年足らずで辞任した総理でも、実績の1つや2つはあるものだ。安倍晋三元首相は一時的とはいえ、「政冷経熱」と言われた日中関係を改善させた。麻生太郎元首相は、世界金融危機の余波を最小限に食い止めようと景気刺激策を断行。その政策は現民主党政権からも評価された。
菅は違う。実績と呼べるものが1つもないこともそうだが、菅は近年、まれにみるダメージを日本にもたらしている。...本文続く
──ここから先は7月13日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年7月20日号をご覧ください。
<デジタル版マガストアでのご購入はこちら>
<デジタル版Fujisan.co.jpでのご購入はこちら>
<定期購読のお申し込みはこちら>
または書店、駅売店にてお求めください
水曜発売Newsweek日本版のカバー特集は「日本政治メルトダウン」。震災復興も夏の電力対策もそっちのけ、身勝手な壊し屋になり下がったように見える菅首相と、それを取り巻く政治メディアや政治資金のあり方を追及します。
■日本 菅直人という名のストレステスト
■メディア 政治をダメにする「第4の権力」
■疑惑 「北朝鮮」と「献金」の深い闇
他にも
■暴かれたマードックの陰謀
■マフィアを愛した妻たちの絶望
■タイ「美女首相」の危うい勝利 など
<最新号の目次はこちら>
[2011年7月20日号掲載]