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出生率

不況なのにフランスは空前の出産ブーム

2011年3月2日(水)15時19分
トレイシー・マクニコル(パリ)

 フランス人は世界で最も悲観的な国民かもしれない。53カ国を対象に行われた世論調査で、今年も経済は悪化すると答えたフランス人は61%。全体平均の28%を大きく上回った。

 経済的不安は出生率を押し下げがちだが、フランスは違うらしい。ヨーロッパ女性の合計特殊出生率は09年で1・6人だったが、フランスは昨年2・01人を記録。1位のアイルランドに次いで多かった。

 出生率上昇の理由の1つは、手厚い家族手当と不況時のセーフティーネットだ。おかげで経済状態が出産するかどうかの判断基準にならずに済んでいる、とフランス国立統計経済研究所のパスカル・ブルイユは言う。

 一方で、昨年出産したフランス女性のうち17%が30代後半であることから、年齢的な「駆け込み出産」をする女性が多かったこともうかがえる。

 子供を大切にするお国柄を考えると、高い出生率はフランスの社会的風潮の表れだとみる向きもある。ルモンド紙の表現を借りれば、公共政策の力を借りて「心ない人間とカネばかりが幅を利かせる世の中を忘れるために、みんなで子供をつくろう」というわけだ。

[2011年2月 9日号掲載]

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