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欧州極右

外国人より動物が大事、スイスの超排外主義

2010年12月14日(火)16時06分
高木由美子(本誌記者)

「少数派」 チューリヒで外国人追放の決定に抗議する市民(11月28日)  Christian Hartmann-Reuters

 動物に国選弁護士を付けてやるべきか──動物の権利を大まじめに問う国民投票が行われたスイスで先週、国民投票によって外国人の重要な人権が剥奪された。

 殺人や強盗、強姦など重罪を犯した外国人犯罪者を服役後に「問答無用で自動的に」国外追放する憲法改正案が11月末、国民投票で承認された。政府が反対票を投じるよう呼び掛けたにもかかわらず、賛成は約53%で過半数に達した。

 行き過ぎだとの声も多い。スイスで生まれ育ったが国籍を持たない移民の子の場合、一度も行ったことのない祖国に送られるケースが考えられるからだ。

 国民投票は極右の国民党の発議で行われた。移民排斥を掲げる同党は、囚人の60%以上が外国人で、彼らのせいで凶悪犯罪が増えたと主張している。だが実際、外国人犯罪者を個別に国外追放にすることは現行法でも十分可能だ。

 オランダやフランスなどと同様、極右政党の躍進と外国人排斥の波が広がるスイス。豚や金魚など群れで暮らす動物の「孤立化」を禁じるなど動物の権利が数々の法律で手厚く保護されたこの国で、外国人が動物以下の扱いになる日はそう遠くない。

[2010年12月15日号掲載]

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