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核協議対イラン制裁は意味がない
ヨーロッパ外交のキーパーソンが語った協議再開の本当の意味と制裁措置の効力
最初の一歩 ビルト外相(左)はクリントンのスピーチはアメリカの姿勢軟化の証だとイランのモッタキ外相に語ったが Natalie Behring-Reuters
国際的な制裁体制を作っても、イランの核開発計画を放棄させることはおそらくできない。そして12月6日に再開した核協議は、今後何年もかかるプロセスの始まりに過ぎない――スウェーデンのカール・ビルト外相はそう語った。
ヨーロッパの外交の世界で大きな影響力を持つビルトは、親イラン派ではない。イランの人権侵害を容赦なく批判しているし、同国の刑務所に収監されているヨーロッパ人の解放のために尽力している。しかし先ごろバーレーンで開かれた安全保障をめぐる対話国際会議では、欧米諸国が作ろうとしている制裁体制を批判した。
ビルトはヒラリー・クリントン米国務長官が講演した12月3日の夕食会で、イランのマヌーチェフル・モッタキ外相の隣の席に座った。ビルトは核開発をめぐるイランとの交渉やモッタキとの対話について、独占インタビューに答えた。
クリントンは以前、国際的な制裁体制がイランを交渉のテーブルに戻し、同国の政策決定を動かしてきたと述べているが、ビルトはその考えに異論を唱えている。「イランは1年前も半年前も、そして今回も交渉に応じている。解決策が見い出せるのは交渉のテーブルの上だ。イランがテーブルに着かないまま問題が解決するとは考えられない」
イランとアメリカの根深い不信感
制裁はプロセスの一部だが、解決そのものではないとも、ビルトは指摘している。「強硬な制裁を行えば自動的に問題が解決すると考える人がいる。イランが突然折れて『何でもあなたの言うとおりにします』と言うように。そんなのは夢物語だ」
長期的に見れば制裁は効果があるかもしれない。だが「10〜20年はかかる。短期的に状況を変えられるのは協議しかない」と、ビルドは語る。しかし、前述の6カ国との核開発協議を進展させるには数回の協議を重ねる必要があるだろう。
アメリカが裏で手を引いた53年のクーデター、79年のイラン革命などが原因で、イランとアメリカの間には根深い不信感がある。「大きく前進するには、まず小さな一歩から始めなければならない」とビルトは指摘する。
幸運なことに、欧米諸国にはまだ時間がある。ビルトが見るところ、イランの核開発は想定よりずっと遅く進んでいる。
夕食会の席でビルトは、民間利用の核開発を進めるイランの権利に注目して批判を避けたクリントンのスピーチは、関係改善を望むアメリカ側の大きな姿勢転換だとモッタキに語った。
モッタキもこれには同意したが、事態が大きく変わることはないと考えているようだったという。「確かに大きな変化だが」と、モッタキはビルトに答えた。「テヘランにはアメリカを信じない人間が数多くいる」
Reprinted with permission from The Cable , 7/12/2010. ©2010 by The Washington Post Company.