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ヨーロッパ仏ストライキ、なぜここまでやるの
フランスでは日常茶飯事のストライキや抗議デモが、今回はいつもにも増して深刻になっている4つの理由
デモには大勢の若者も参加している(10月16日、ニース) Eric Gaillard-Reuters
ストライキといえば、ワインやチーズと並ぶフランスの名物。フランス革命の時代から、こうした抗議活動は不満を訴える民衆の特権であり続けてきた。しかし、いまフランスで巻き起こっているストには、伝統的な抗議活動とは少し違う面もある。今回のストやデモが、従来のものより深刻になっている理由を4つ挙げてみよう。
1.明確な動機がある
通常のストは明確な動機がなかったり、限られた人しか共感できない場合も珍しくない。昨年秋にはパリで、ニコラ・サルコジ大統領の右派寄りの政策や高い失業率への不満を訴える抗議活動が行われたが、デモ行進では具体的な要望は掲げられなかった。
しかし今回は、年金改革のために退職年齢を現在の60歳から62歳に引き上げるという政策への抗議という明確な目的がある。法案はすでに下院で承認され、上院での採択を待っている状態だ。
2.規模の大きさと暴力の横行
今回は全国で連日300万人以上が参加するほど規模が拡大している。製油所の閉鎖による燃料不足や交通機関の運休は国内経済にも悪影響を及ぼし、警官隊とデモ隊の衝突も多発している。暴力行為による逮捕者はすでに1000人以上に達した。
3.既得権益にしがみつく労働者
なぜフランス人は、ほかの欧州諸国ですでに実施されている労働年数の延長を受け入れられないのだろうか。退職年齢の引き上げはイギリスやドイツなどでも行われているが、フランスのようなストは起きなかった。
あるデモ参加者は、年金生活は懸命に働いてきた労働者に与えられるべき正当な見返りだと言う。「私たちは年金を受け取るに値する働きをしてきた。そして、若い世代にも同じ見返りがあるよう望んでいる」
高校生など若者の参加者が多いのも今回のデモの特徴だ。退職年齢が伸びれば雇用の空きも減る。25歳以下の国民の失業率が25%に迫る現状では、高校生にとっても無関係の問題ではない。
4.サルコジへの失望が原動力
今回のストやデモは、右派寄りの政策を推し進めるサルコジを確実に追い詰めている。ある調査では、年金改革に反対する人々の声に耳を傾けようとしないサルコジの姿勢に65%の回答者が不支持を表明した。
与党は両院で過半数を占めているので、法案が否決されるとは考えにくい。しかし抗議活動が全国に広がっている背景には、サルコジへの不信感がある。労働者や中流層を助けるという約束を守っていないと国民に思われているのだ。こうした状況を見る限り、2012年の大統領選でサルコジが再選を果たす可能性は低そうだ。
(GlobalPost.com特約)