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コロンビア優等生ウリベに盗聴スキャンダル浮上
8月に大統領を退任後、野党議員や最高裁判事へのスパイ疑惑が発覚
栄光の暗部 今も国内で人気の高いウリベだが、任期中に大統領府治安局が違法盗聴を行っていたことが発覚 Jose Gomez-Reuters
8月に退任したコロンビアのウリベ前大統領が9月、米ジョージタウン大学の客員教授に就任したが、初めての授業で彼を待っていたのは「虐殺者」と書かれた横断幕。そして母国では現在、元側近たちが職権乱用の疑いで捜査を受けている。
ウリベは共産ゲリラとの内戦で疲弊した国に安定を取り戻した英雄だが、8年にわたった彼の任期の暗部に、退任後になって光が当たり始めた。最も深刻なのは「DAS(大統領府治安局)ゲート」と呼ばれるスキャンダルだ。
DASはウリベの任期中、野党議員や人権活動家、ジャーナリスト、最高裁判事の電話を違法に盗聴していた。当時はウリベ派の議員の多くが右派の「死の部隊」との金銭的、政治的なつながりについて最高裁に調べられていた。
DASの女性工作員が最高裁判事のボディーガードや個人秘書、清掃作業員に判事をスパイするよう説得していたことも9月に判明。現在のところウリベ自身の直接関与を示す情報はないが、元DAS工作員は大統領官邸にも情報が送られていたと証言している。
それでも国民のウリベ人気は相変わらずで、本人は政界ナンバー2ポストであるボゴタ市長への立候補を検討しているという。
[2010年10月13日号掲載]