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ロシアモスクワ市長解任にプーチンが激怒?
大物市長を切って捨てた解任劇の裏には、メドベージェフ大統領とプーチン首相の巨大な権力抗争が
モスクワのユーリ・ルシコフ市長は、長年政界で生きてきたベテラン政治家だが、つい最近になって権力者に盾突く恐ろしさを思い知らされた。きっかけはモスクワ郊外の森林地帯。ルシコフがここに高速道路を建設しようとしたところ、メドベージェフ大統領に阻止されたのだ。怒ったルシコフが公の場で不満を語ると、ロシア政府はすかさずメディア攻勢を仕掛け、ルシコフは汚職や脅迫、殺人に手を染めた人間だと集中砲火を浴びせた。
ルシコフはすべての疑惑を否定し、今のところ市長の座を維持している(編集部注:ルシコフは9月28日、メドベージェフに解任された)。しかし裏では、もっと強大な対立が起きている可能性がある。メドベージェフとプーチン首相の権力抗争だ。
プーチンはルシコフと親しいわけでもないのに、メドベージェフの独断的な攻撃に激怒しているという。ロシア国内では、そんな反応をプーチンが見せるのは、12年の大統領選でメドベージェフが権力の座を明け渡さず、自ら再選を目指して立候補しようとしているからではないかとみる向きも多い。
もっともそれが本当なら、メドベージェフが直面する敵はプーチンだけではないだろう。ルシコフのように大きな力を持つ官僚や実業家も、大勢抑え込まなければならない。
[2010年10月 6日号掲載]