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ウィキリークス疑惑の行動連発で崇高なのは理念だけ?
アフガニスタンでの米軍の活動計画に関する機密文書を暴露し、話題を呼んだ内部告発サイト「ウィキリークス」。彼らは崇高な理念を、ホームページでこう語る。「政治の透明性が汚職を減らし、より良い政府とより強い民主主義をもたらすと信じている」
しかし最近起きた2つの出来事が、同サイトと創設者のジュリアン・アサンジが自らの理念に従った行動をしていないことを示した。
第1は先週、ウィキリークスが「リーク──アメリカを『テロ輸出国』と呼ぶCIAのメモ」と題した文書を掲載したこと。衝撃的な見出しだが、実際のCIAの文書の表題は「もしもアメリカが『テロ輸出国』と見なされたら」。
内容もアメリカのパスポートを持っていればテロリストと疑われる可能性が低いので国際テロ組織はアメリカ人を勧誘したがると、問題提起しているだけ。こうした分析は識者の間でも主張されており、ウィキリークスが仰々しく騒ぎ立てるほどの文書ではなかった。
第2はアサンジがスウェーデンでレイプと痴漢の容疑で指名手配されたこと。指名手配はすぐに撤回されレイプ容疑の捜査も打ち切られたが、痴漢については検察は捜査を続行している。
対するアサンジは陰謀論を振りかざすばかり。メディアの取材に「明らかな中傷キャンペーンだ」と語り、「誰の仕業か分からないが、米国防総省が汚い手を使ってわれわれへの攻撃を計画しているなんて話も聞いている」とまでぶちまけた。
だが情報筋によれば、ウィキリークス内部では、アサンジが証拠もなしに陰謀論をまき散らしていることに懸念の声が広がっている。アサンジを説得して表舞台から退かせようとする動きまで出ているという。透明性と民主主義を全うするなら、「アサンジ追放」の筋書きもあるかもしれない。
[2010年9月 8日号掲載]