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北アイルランド「テロ首謀者は神父」の衝撃
72年のIRA爆弾テロをめぐるカトリック教会と英政府の共謀が明らかになった
渦巻く疑念 北アイルランド紛争に聖職者がどうかかわっていたのか Paul McErlane-Reuters
9人が犠牲になった72年7月のIRA(アイルランド共和軍)の爆弾テロは、カトリック教会の神父が主導した。イギリスの閣僚や教会はその事実を知りながら共謀して、彼を逮捕させなかった──8月24日、北アイルランド警察のオンブズマン、アル・ハッチンソンがまとめた衝撃的な報告書が公開され、68〜98年の北アイルランド紛争で聖職者が果たした役割についての疑念が飛び交っている。
72年当時、地元警察はテロ事件の首謀者としてジェームズ・チェズニー神父を疑った。しかし彼の逮捕で、宗派抗争による流血の事態が拡大するのを恐れ、国境を越えたアイルランド共和国の教区にチェズニーを秘密裏に移動させた。
報告書の内容は、地元の人々がこれまで抱いてきた疑いと一致する。テロを目撃した住民は「チェズニーの命が犠牲者の命より大切だったということだろう」と言う。
(GlobalPost.com特約)