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オーストラリア豪総選挙を彩ったセックス新党
スローガンは「政府をベッドルームに入れるな」。その政策目標は?
8月21日に投開票されたオーストラリアの総選挙は与党・労働党と野党・保守連合が大接戦。1940年以来70年ぶりに、いずれの党も下院議席(定数150)の過半数に達しない「中ぶらりん議会」になることが確実となった。
22日現在の獲得議席数は、6月に前任のラッドを追い出す形で初の女性首相に就任したギラード率いる労働党が70。トニー・アボット自由党党首の下で3年ぶりの政権奪回を狙う保守連合が72と、野党がわずかに上回っている。
選挙戦では、ギラードが金融危機を乗り越えた労働党の経済政策の実績を強調し、アボットは政府の無駄遣い批判を展開した。党内不和や鉱山資源業界への新税案などで支持率が落ちた労働党は、苦しい戦いを強いられた。
そんな選挙戦でひときわ異彩を放ったのが、「政府をベッドルームに入れるな」をスローガンに選挙運動を展開したオーストラリアセックス党(ASP)だ。性教育拡充やネット検閲反対、宗教施設での児童性的虐待問題の徹底調査、性機能障害の薬物治療への公的援助といった政策を掲げている。
08年に結成されたASPの女性党首フィオナ・パッテンは、職歴の大半をアダルト産業で過ごし、現在はアダルト業界大手エロス・アソシエーション社のCEOを務める。「性関連の法整備に関してオーストラリアは遅れている。残念ながら、アメリカのネオコン(新保守主義)や宗教右派の影響が強い」とパッテンは言う。主に若者からの支持を得て、旧態依然とした保守的な政治文化を変えることを目指してきた。
ASPが全国の選挙区に擁立した候補者は、パッテン自身のほかにポールダンサーや重量挙げの女子選手、有名コメディアンなど。一部議席が改選された上院で最低でも1議席の獲得を目指したが、かなわなかったもようだ。
[2010年9月 1日号掲載]