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イラン石打ち刑の女性が夫殺しを「自白」
拷問で強要されたかもしれない国営テレビでの自白で、処刑はますます濃厚に
ベルリンで石打ち死刑に反対する女性(8月5日)
真偽の疑わしい姦通罪で石打ちによる死刑を言い渡され、執行が猶予されていたイランの女性が8月11日の夜、国営テレビに出演した。彼女は夫殺害に関与したと「自白」したが、テレビに出る前に拷問を受けたという報道もある。
2児の母であるサキネ・モハマディ・アシュティアニ(43)は、夫を亡くした後の「違法行為」(姦通)で05年に有罪となり、石打ちによる死刑が決まった。しかし拘束中の自白を撤回し、すべての罪状を否認した。彼女の弁護士は石打ち刑に対する国際的な非難を呼び起こすキャンペーンを開始し、当局が執行を猶予していた。
国際的な関心の高まりに当惑したイラン政府は弁護士を尋問。弁護士がトルコ経由でノルウェーに脱出すると、帰国を促すために弁護士の妻や身内を拘束した。
アシュティアニは番組への出演を強要されたらしい。彼女の別の弁護士によると、「出演を承諾するまで(2日間にわたって)激しくたたかれたり拷問されたりした」。
番組にはアシュティアニと名乗る女性が顔を隠して出演。英BBCによると彼女は、夫のいとこが夫を殺害する計画を事前に知っていたと話したという。「彼は夫を感電死させた。殺害前には、子供を祖母の家に預けておくよう言われた」と彼女は語った。裁判官も出演し、殺害前に彼女が睡眠薬を夫に注射したと語っている。
番組はこの事件に関する「西側の政治宣伝」を非難。世界各国の政府や人権団体の非難にもかかわらず、アシュティアニが直ちに処刑される恐れが高まっている。
[2010年8月25日号掲載]