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トルコ

世俗主義を捨ててイスラム強国に変身?

2010年6月21日(月)16時25分
アイソン・アサナシアディス(イスタンブール)

 1世紀近くにわたって欧米への接近を続けてきたトルコが、その路線を変更しつつある。

 国連安全保障理事会のイランへの追加制裁決議で、予想されていたとおりトルコが反対票を投じた。さらにエルドアン首相は6月8日、ボスポラス海峡の豪華ホテルでロシアのプーチン首相やシリアのアサド大統領をもてなした。今年トルコが、中東やアジアの主要国首脳が参加するアジア相互協力信頼醸成会議の議長国になったからだ。

 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに向かう支援船団を拿捕した事件で、トルコ政府はイスラエルを厳しく糾弾して国民の支持を集めている。「ガザ支援船に象徴される最近のトルコの外交姿勢がNATO諸国を動揺させている」と、米マサチューセッツ工科大学のフォティニ・クリスティア助教授(政治学)は言う。「これまでトルコは世俗主義を前面に打ち出してきたが、今はかつてなくイスラム国としての立場を外交に投影している」

 ただこれまでエルドアンは、欧米とイスラム世界の間で絶妙なバランスを保ってきた。今回もイスラエルへの強硬姿勢で国内外の支持を集めつつ、西側諸国とも関係を保つ従来どおりの現実路線を維持するとの見方も根強い。

[2010年6月23日号掲載]

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