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欧州ギリシャ危機で左翼ゲリラが活発化
緊縮財政策で高まる国民の不満に便乗し、過激派が爆弾テロに走っている
ギリシャで反政府ゲリラの犯行とみられる爆弾テロが立て続けに起きた。緊縮財政策に対する抗議デモで揺れる同国で、ゲリラの動きが活発になっているようだ。
「今はゲリラにとって非常に活動しやすい状況だ」と非営利組織「ワールド・セキュリティー・ネットワーク」のイオアニス・ミカレトスは言う。「財政危機によって国民の不満が高まるなか、ゲリラを支持する人も増えている」
最初の爆発は5月13日夕方、アテネのコリダロス刑務所の近くで発生。この刑務所には極左ゲリラ「革命闘争」のメンバーが収監されている。2つ目の爆発は14日の昼頃、北部の港湾都市テッサロニキの裁判所敷地内で起きた。
政府は財政危機を乗り切るためにEUとIMFから総額1100億ユーロの融資を受けるのと引き換えに、年金改革など財政緊縮策の導入を決めた。これに反対する市民のデモでギリシャは揺れている。
「正義の味方」とみる市民も
しかし一部の過激な組織がデモに紛れ込み、銀行に火炎瓶を投げ込んだり、警官隊と衝突を繰り返したりしていることに対して、市民の評価は分かれている。過激派を非難する人もいれば、「正義の味方」とみる人もいる。市民のデモ参加者を減らすために、政府の手先が暴動をあおっているという見方もある。
爆弾テロの犯行声明は出ていないが、ギリシャ当局はここ10年で台頭してきた新しい過激派の犯行とにらんでいる。警察官が15歳の少年を射殺したことをきっかけに広がった08年12月の暴動以降、過激派の活動は活発になっている。
「革命闘争」の存在が明らかになったのは03年。30年に及ぶテロ活動で多くの政治家らを殺害してきた左翼ゲリラ「革命組織11月17日」が壊滅した直後だった。「革命闘争」は07年にアテネの米大使館にロケット弾を撃ち込んだとされる。
今回の爆弾テロはトルコのエルドアン首相のギリシャ訪問で、両国の緊張緩和の機運が高まるタイミングに合わせるようにして起きた。警察当局は首相訪問とテロは無関係としているが、一部メディアは緊張緩和の動きをトルコへの「屈服だ」と批判。財政危機にあえぐギリシャが経済協力のためにトルコとの関係改善を進めることへの民族主義的な怒りが、テロの背景にあったのかもしれない。
(GlobalPost.com特約)
[2010年5月26日号掲載]