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中国リオ・ティント事件で外国企業は諦めムード
上海の裁判所は3月29日、英豪系資源大手リオ・ティントの中国責任者スターン・フーに対し、収賄罪で懲役10年の刑を言い渡した。
中国では西側の多国籍企業が絡む事件が相次いでいる。3月下旬には中国石油化工(シノペック)の元従業員が独ダイムラーから賄賂を受け取ったと認めたし、飲料大手ペプシコも中国人従業員2人が密輸と脱税の罪に問われた。
外国企業を巻き込んだ汚職事件は以前からあった。だが疑惑対象に対する中国政府(と国営メディア)の対応は以前より厳しい。リオ・ティントをめぐる一連の騒動を通じて、中国政府は外国企業に中国ルールに従う必要性を教えるためなら何でもする、という意思を表している。たとえそのルールがどれほど不明瞭であっても、だ。
法律が曖昧なら、中国政府は状況に応じてそれを適用も無視もできる。実際、地元紙の法制日報が指摘したように、IBMや独シーメンスなど多国籍企業が絡んだ過去の収賄事件で政府は「過剰なほど沈黙」していた。
中国にとって「外国企業による汚職」との戦いは、世界市場との戦いでもある。大胆さを増しつつある中国とは対照的に、外国企業の間には悲観的なムードが漂っている。在中国EU商工会議所の会頭もフィナンシャル・タイムズ紙にメンバーがかつてないほど「暗く悲観的」だと寄稿している。
それでも彼らは中国ルールに従うしかない。中国政府もそれを十分承知している。
[2010年4月21日号掲載]