最新記事

司法

トルコ憲法改正案を歓迎すべき理由

2010年4月13日(火)14時25分
オーエン・マシューズ(モスクワ支局長)

 トルコのイスラム系与党・公正発展党(AKP)が3月30日に国会に提出した憲法改正案には、裁判所が政党を解党させる際の条件を厳しくし、軍士官も一般法廷で裁けるようにするなどの司法制度改革が盛り込まれている。

 AKP関係者は「法の支配」を強化するための改革だというが、世俗派はAKPの権力に対する最後の牽制役の力を奪う試みだと警戒する。政教分離の守護者を自任し、AKPと対立してきた軍は既に、政府転覆計画の容疑で将軍たちが逮捕され弱体化している。

 AKPの最大の目的が保身であることは間違いないが、トルコの司法制度に改革が必要なのも事実。検察官や裁判官は党派色が強く、隙あらばAKP議員を起訴し、国会で過半数の議席を持つAKPを解党しようとしている。今回の改正案は、政治的に公正中立な司法制度をつくる一歩になる。

[2010年4月14日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英新首相にスターマー氏、14年ぶり政権交代 「リセ

ビジネス

米6月雇用20.6万人増、失業率4.1%に上昇 賃

ビジネス

アマゾン、デジタル市場法順守に関する詳細情報提供を

ビジネス

米経済、「非常に好調」=NY連銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVの実力
特集:中国EVの実力
2024年7月 9日号(7/ 2発売)

欧米の包囲網と販売減速に直面した「進撃の中華EV」のリアルな現在地

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 2
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカードの「基本概念」を根本的にひっくり返す悪手だ
  • 3
    「黒焦げにした」ロシアの軍用車10数両をウクライナ部隊が爆破...ドローン攻撃の「決定的瞬間」が公開される
  • 4
    「天井に人が刺さった」「垂直に落ちた」── 再び起き…
  • 5
    和歌山カレー事件は冤罪か?『マミー』を観れば死刑…
  • 6
    観光客向け「ギャングツアー」まであるロサンゼルス.…
  • 7
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 8
    一期一会を演出する「奇跡」の人気店は数年で潰れる.…
  • 9
    現在のビットコイン価格は「高すぎ」か、実は「割安…
  • 10
    女性判事がナイトクラブで大暴れ! 胸が見えてもお構…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 3
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「帰ってきた白の王妃」とは?
  • 4
    ウクライナ戦闘機、ロシア防空システムを「無効化」.…
  • 5
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 6
    黒海艦隊撃破の拠点になったズミイヌイ島(スネーク…
  • 7
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着た…
  • 8
    H3ロケット3号機打ち上げ成功、「だいち4号」にかか…
  • 9
    キャサリン妃も着用したティアラをソフィー妃も...「…
  • 10
    「地球温暖化を最も恐れているのは中国国民」と欧州…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 5
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 6
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 7
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 8
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 9
    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…
  • 10
    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中