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ロシア地方選敗北でプーチンに退潮の兆し?
失業や公共料金の値上げが庶民を直撃、数千人規模の反政府集会も
ロシアで絶大な権力を誇るプーチン首相に逆風が吹いているのか。
この国では非常に珍しいことに、最近各地で数千人規模の反政府集会が開かれている。さらに3月14日の統一地方選は、プーチン率いる与党・統一ロシアにとって予想を大幅に下回る結果となった。
「多くの人々は統一ロシアや強権的な官僚にうんざりしている」と政治アナリストのアレクザンダー・キネフは言う。
世論のムードは明らかに変わった。腐敗した警察官と役人絡みの不祥事が毎日のように報じられ、不況に苦しむ民衆は怒りを一層募らせている。失業率が高止まりするなか、年明けの公共料金値上げは特に貧困層を直撃している。
統一ロシアは長いこと地方議会で平均60%の議席を確保し、昨年10月の統一地方選でも圧勝した。だが今回は、事前に各地で大規模な反政府デモが起きていたこともあり、なりふり構わぬ選挙工作を行ったようだ。独立選挙監視組織ゴロスによれば、同党の関係者は有権者にウオツカや金銭を振る舞い、買収を行ったとされる。
与党・統一ロシアは右往左往
にもかかわらず、統一ロシアが過半数の議席を確保したのは8つの地方議会のうち4つだけ。主だった市の市長選にも敗北した。票の改ざんをしてこの結果だから、実際の得票率はもっと低かっただろうと批判派は言う。
「連中もいくらなんでも半分の票をごまかすことはできない」と、市民連合「連帯」の指導者の1人であるボリス・ネムツォフ元第1副首相は言う。「この国では何年もまともな選挙が行われたことはない。討論も対立候補もなく、あるのは票の改ざんと不正投票のシステムだけ。まったくの茶番だ」
プーチンの人気は今も高い。政府系調査会社の最新調査によれば、現在も73%の支持率を誇る。その人気に並ぶ政治家も政党も出てきていないのが現実だ。
それでも統一ロシアは各地のデモや地方選での敗北に動揺している。公共料金の値下げに動きだし、反政府デモの阻止に躍起になっている。
「(統一ロシアは)どうしていいか分からないでいる」と、政治アナリストのキネフは言う。「万事うまくいっていると言いたいようだが、現実は正反対だ」
*グローバル・ポスト特約
GlobalPost.com
[2010年3月31日号掲載]