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ブラジルリオ五輪に向けてスラム浄化作戦
リオデジャネイロは長い間、暴力の蔓延に苦しめられてきた。市民の5人に1人が暮らすスラムには麻薬ギャングがのさばり、無法地帯と化していた。
だが16年の五輪開催が決まり町の浄化が新たな緊急課題となるなか、市は再びギャングの撲滅に乗り出している。映画『シティ・オブ・ゴッド』の舞台にもなったシダージ・ジ・デウスなど6つの最下層スラムからは、既に無法者が完全に駆逐されたという。
とはいえ1000の貧民街が存在し、その半分が麻薬組織によって腐敗している現状では焼け石に水だ。警察は今年さらに34カ所を「制圧」する計画だと、リオデジャネイロ州のホセ・マリアノ・ベルトラメ保安長官は言う。
重要なのは、今回の計画では警察が現地にとどまり続けるということ。以前は取り締まりを行っても、警察が去った後に犯罪者が帰ってくるのを許していた。賄賂を受け取った警察が取り締まりの手を緩めることも多かった。
今回は大規模な取り締まり後も警備を続行し、警察の存在によって麻薬組織の再興を防ぐ計画だ。パトカーではなく徒歩で巡回を行い、住民に警察の存在を常に認識させるという。さらに、巡回メンバーを新人から選ぶというのも新しい試み。新人なら、まだ汚職に手を染めていないはずだ。
こうした試みがうまくいくかどうかはまだ分からない。だが確かなのは、今回は世界中が注目しているということだ。
[2010年1月27日号掲載]