最新記事

中南米

ホンジュラス危機長引きブラジル赤面

2009年11月16日(月)15時28分
マック・マーゴリス(リオデジャネイロ支局)

 ホンジュラスの次期大統領が誰になるかは不明だが、長期化した同国の政治危機をめぐり不本意な立場に立たされたのはブラジルだ。

 6月に軍主導のクーデターでセラヤ大統領が国外追放されて以来、セラヤの復職を支持してきたブラジルのルラ大統領は9月に国連で「クーデターの首謀者」を非難。その直後にセラヤはひそかに帰国しブラジル大使館に身を寄せた。

 セラヤが大使館からラジオで支持者へのメッセージを発信することを容認するなどブラジル政府がセラヤ寄りの姿勢を取ったせいでミチェレッティ暫定大統領はかえって権力の座にしがみつき、国内の緊張に拍車を掛けた。

 10月には米政府が介入。南米へのアメリカの影響力を弱めようとしてきたルラには苦渋の決断だったが、セラヤと暫定政府は米政府主導の和解案に合意した。セラヤを復権させるか、セラヤの任期が満了する1月まで挙国一致内閣に統治を委任するかをホンジュラス議会が採決するこ
とになった。

 ところが議会は採決を先送りし、11月5日に発表された挙国一致政権の閣僚名簿にセラヤの名前はなかった。このまま混乱が続けば、29日に予定されている大統領選の承認を他国が拒む可能性もある。ブラジルの立つ瀬はなさそうだ。

[2009年11月18日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NZ中銀、政策金利0.5%引き下げ 追加緩和を示唆

ビジネス

米石油・ガス生産急増の公算小さい、トランプ氏公約で

ビジネス

トランプ関税で生鮮品が高騰や品薄に、メキシコ・カナ

ワールド

ヒズボラ、停戦後も避難民・復興支援などで活動へ=幹
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 5
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 6
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言でき…
  • 7
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 8
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 9
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 10
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中