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インドアフガンを舞台に「印パ戦争」
アフガニスタンでアメリカ人より深刻な危険に直面しているのはインド人だ。
10月8日、首都カブールにあるインド大使館の外で自爆テロが発生。17人が死亡し、76人が負傷した。同大使館は08年7月にも爆弾テロに遭い、58人が死亡している。大使館周辺以外でもインド人は自爆テロや誘拐の標的になっている。
欧米ではあまり知られていないが、インドはアフガニスタン復興に重要な役割を果たしている。インドは宿敵パキスタンを牽制するため、以前からアフガニスタンとの友好関係の維持に努めてきた。
インドは周辺地域で最大規模となる12億ドル以上の復興援助を約束。復興プロジェクトでは少なくとも4000人のインド人が働いている。アフガニスタンでの作戦の後方支援を行うために、タジキスタンに空軍基地まで開設した。
こうした動きにパキスタンは反発。同国はインドとアフガニスタンがパキスタン国内の過激派組織を支援していると非難する。パキスタンがアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンを国内にかくまっているのはインドに対抗するためだとの見方もある。
インドと欧米の諜報機関は、パキスタンの軍統合情報局が08年7月のテロに関わっていたことを示す証拠を発見。今回のテロでも同国の関与を指摘する声がある。
インドとパキスタンの対立はアフガニスタン紛争の解決を困難にしている要因の1つだ。アフガニスタン駐留米軍のスタンリー・マクリスタル司令官の報告書によると、「アフガニスタンでインドの影響力が増せば、周辺地域の緊張状態が悪化し、パキスタンによる対抗措置を誘発しかねない」。
アフガニスタンの治安回復はインドの出方によって大きく左右されそうだ。
[2009年10月28日号掲載]